健康診断というのは本来個人が管理し、その維持費は個人が負担すべきものです。その費用を会社が負担すれば社員への給与として所得税の源泉徴収をしなければなりません。
しかし、健康診断については労働安全衛生法で「事業者は労働者に対して健康診断を実施しなければならない」とその義務を定めており、通常は少なくとも年に一回は実施しなければならず、またその費用も会社が負担するところがほとんどです。
ただし、会社の経費(福利厚生費)として処理するためには、
- 対象者が全従業員
- 診断内容が健康管理上必要であり常識的な範囲
- 費用を会社が直接診断機関に支払う
などの要件を満たしていることが必要です。
1.については『一定の年齢以上』とすることも可能ですが、その場合でも当然に対象年齢以上については全員受けなければなりません。
2.については日数が2~3日以内で高額でないことが条件で、公共機関で推進している人間ドックも含まれます。ただし人間ドックを毎年全員に行う企業は稀です。
なお、取締役など一定の役員以上の者だけを対象とする高額な人間ドックは、福利厚生費とはみなされず、給与として課税対象になるので注意が必要です。
(水田 裕之)