決算期末に多額の利益が見込まれる場合に、従業員に還元する目的で賞与を出すことは、従業員の労働意欲向上のためにも有効ですし、会社の節税対策にもなります。
このいわゆる『決算賞与』ですが、決算日までに実際に決算賞与を各人別に支給していれば、当期の費用(損金)として何の問題もないのですが、決算日後に支給していても以下の要件をすべて満たせば未払賞与として当期の費用に計上することができます。
- 決算日までに決算賞与の支給額を各人別に受給者全員に通知していること
- 通知した金額を、決算日後1ヶ月以内に受給者全員に支払っていること
- 決算で未払金の計上(損金経理)をしていること
上記に関して注意する点は、以下の通りです。
- 決算日までに通知しなければならないことになっているので、各月の月次決算をしっかりおこなって試算表を出し、利益予測を立てておくことが必要です。
- 各人別に支給額を通知することになっているので、従業員全員で○円という通知は認められません。また従業員全員に通知することになっているので、一部の従業員にだけ通知することもできません。
- 社長が口頭で伝えても1.の条件は満たしますが、後から通知したかどうかの確認が不可能ですので、各人への通知は書面で行い、税務調査等でその証明を求められることも考えて日付とサインと確認印を受けておいたほうが良いでしょう。
- 2.は、決算日後1ヶ月以内に各人に銀行振込をすれば証拠が残ります。現金による支給であれば各人から領収書をとる必要があります。
(伊藤 淳二)