ここ数ヶ月のサプライム・ショックを目の当たりにして、よく「本当に今買って大丈夫なの?」という声を耳にします。いくら長期分散投資という考え方を理解していたとしても、目先の相場観を排除することはなかなか難しいようです。
そこでタイミングを計って購入した場合と、相場観を完全無視して定期的に購入した場合とで、どのような投資成果の違いが出るかを検証したデータをご紹介します。
まず日経平均で検証してみると、毎年年初に購入した場合、1970~2005年までの36年間の年率リターンは3.81%でした。一方、相場を当て続け36年間毎年その年の安値で購入できた場合(最も運の良かった人)は、4.36%でした。逆にその年の高値で購入し続けた場合(最も運の悪かった人)は、3.03%でした。もちろんこのように相場を当て続ける人、外し続ける人というのは皆無に等しいでしょう。日本の株式だけでなく、世界の株式を対象にした指数でみた場合でも大差は見られませんでした。
次に、株式指数ではなく、NISCOでも扱っている「ハイブリッド・セレクション」を設定日(1998年2月)以降、毎月一定額を購入した場合についても検証してみました。タイミングが良ければ、一時的或いは短期的には投資成果の良い時もあるかもしれません。しかし長期で見ると、タイミング良く投資できたとしても、年間で見た定期的な購入に対する超過収益は1%を超えることはできませんでした(投資成果の差0.70%=タイミング重視の安値購入〈最も運の良い人〉19.34%-定期的購入18.64%)。逆に、タイミング重視の高値掴みし続けてしまった最も運の悪い人でも17.71%の投資成果でした。
短期的な相場を当て続けることは不可能ですが、もし仮に相場を当て続けることができるとしても、相場観を持つということは、現在或いは将来の経済分析をしたりするなど様々な情報の収集・分析という手間(事務コスト)がかかります。上記の投資成果は、果たして本当にそのようなコスト負担に見合うものでしょうか。
(久保 康高)