勤務態度が悪い、遅刻・欠勤が多い等相当の理由があり、止むを得ず従業員を解雇せざるを得なくなった場合には、少なくとも解雇予定日の30日前に労働者に解雇の予告をしなければなりませんが(労基法20条)、30日に満たない場合には、「解雇予告手当」を支払う必要があります。
解雇予告手当は退職所得に該当します。退職所得は通常の賃金とは源泉所得税の計算方法が異なります。
(収入金額-退職所得控除額※)×1/2=退職所得の金額
※退職所得控除額
- 勤続年数が20年以下・・・勤続年数×40万円(最低80万円)
- 勤続年数が20年超・・・(勤続年数-20年)×70万円+800万円
例えば、勤続年数10年の人の退職所得控除額は10年×40万円=400万円となり、解雇予告手当が400万円を超えたときに初めて所得が発生することになりますので、解雇予告手当だけで考えると、ほとんどの場合は税額が発生しないと考えてよいでしょう。
ただし、解雇対象者より「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合は、会社で退職所得の収入金額の20%の税額を源泉徴収する必要があります。
なお、解雇予告手当はあくまで賃金とは異なるため、社会保険料も控除しません。
《参考》労働基準法第20条「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない・・・」
(廣島 和代)