地方法人特別税とは、都道府県に納める法人事業税の一部を国が国税として徴収するものです。徴収された地方法人特別税は、各都道府県に再配分されます。都市部と地方の税収格差を是正することを目的としています。
<ポイント>
1 平成20年10月1日以後開始する事業年度から適用されます。
2 法人事業税の税率が引き下げられました。
3 実質的に税額はほぼ同じです(現行の法人事業税を上回らないように設計されています)。
4 都道府県税の申告書の記載及び計算方法が変更されています(申告書の様式が変更になります)。
5 地方法人特別税の税収に相当する額を都道府県に再分配するために、地方法人特別譲与税が創設されました。
今年10月1日以後開始する事業年度からの適用なので、一年決算法人については、通常来年の9月決算法人から対象になります。しかし、この10月1日以後に設立して決算が10月末の場合には、いきなり地方法人特別税の申告が必要です。地方法人特別税導入後も納付する税額はほぼ同じですし、地方法人特別税の申告・納付は法人事業税と合わせて行うので、このために申告が煩雑になったり手間が増えたりすることはありません。10月1日以後設立で、すぐに決算を迎えるような会社は、注意してください。(久保 康高)
<タックスワンポイント>
■ 損益通算できる! ゴルフ会員権売却による損益
ゴルフ会員権には、特定の会社の株主のみが会員となる会員権とそれ以外の会員権があるが、これらはいずれも投機目的での売買でなければ、売却によって得た所得は譲渡所得となる。総合課税の対象であることから、ゴルフ場を経営する法人が破産するなどの一部例外を除いては、売却で生じた損失はほかの所得と損益通算が可能だ。
所得金額の計算については、会員権の所有期間で異なる。所有期間が5年以内なら短期譲渡所得で、譲渡収入金額から取得費、譲渡費用、特別控除額(50万円)を引いた金額が課税の対象となる。
一方、所有期間が5年超なら長期譲渡所得となり、譲渡収入金額から取得費、譲渡にかかった費用、特別税額控除(50万円)を差し引いた金額を求め、それに2分の1を乗じて課税の対象となる金額を算出する。
特別控除額は、会員権を複数売却しても50万円が上限となっている。また、所有期間が5年以内と5年超のものを売却した場合は、短期譲渡所得(5年以内)から控除することになるので注意したい。