外国人(外国籍の日本人も含む)が所有している日本の不動産を購入(又は賃借)した場合、購入した者が源泉徴収義務を負う場合がありますので注意が必要です。
会社(個人事業者を含む。以下同じ)が、外国人から土地、建物などの不動産を購入した場合には、買主である会社が購入金額の10%を源泉徴収し、翌月10日までに税務署に納税しなければいけません。この源泉徴収税額は買主が負担するものではなく、売主が負担するものです。買主は購入代金の10%を売主から預かり、その預かった税金を税務署に納めることになるので、買主側の負担が増えるということではありません。
しかしながら通常、不動産売買の契約時には不動産業者が仲介に入ることになりますが、きちんとした不動産業者であれば契約時にそのことを説明し、必要な手続きをしてもらえると思うので問題ありませんが、よくあることでもないのでそのことを知らない仲介業者が間に入った場合には思わぬ支出が発生する可能性があります。
“購入して数ヶ月が経ってから税務署よりおたずねがあるまで気づかない”ということになってしまった場合に、源泉徴収し、納税の義務があるのは買主側なので、源泉徴収をしていようが、していまいが納税はしなければいけません。一度支払った売買金額から10%を売主より返してもらわなければいけませんし、もし、返してもらえない場合には買主側で負担するはめになってしまうかもしれません。仮に5000万円で土地建物を購入した場合には10%の500万円を負担して納めることになってしまいます。さらに、納税額の10%の加算税と遅れた分の延滞税も納めなければいけません。
最近では日本の不動産を外国人が所有する事も以前と比べて増えてきているので、こういった余計な納税を防ぐためにも、購入前にきちんとした仲介業者選びであったり、会計事務所への相談を密にする必要があります。
※ 個人が購入する場合で、対価が1億円以下で、かつ、その個人又はその親族の居住のためである場合には源泉徴収は免除されます。
※ 賃借の場合には毎月の賃料の20%を預かり、納税することになります。(水田 裕之)