● 景況判断指数が最低値更新 雇用も「過剰」鮮明に!
財務省と内閣府は、平成20年12月24日、同年10~12月期の法人企業景気予測調査を発表した。大企業・全産業の景況判断指数(BSI=景気が「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた数字)はマイナス35・7。これまでの最低値だった同年4-6月期のマイナス15・2を更新し、過去最悪となった。
調査が行われたのは同年11月下旬。世界的な景気悪化による輸出の急激な落込みや、円高で業績悪化が予想以上に進んでいることを主因に、同年7-9月期のマイナス10・2から大幅に悪化。中堅企業・全産業の同年10-12月のBSIはマイナス33・3、中小企業・全産業はマイナス40・7だった。
業種別でみると、国内での新車販売不振にあえぐ自動車関連の業況判断の悪さが際立っている。同年10-12月期は大企業ベースでBSIがマイナス83・6で、同年7-9月期のマイナス18・1から急速に悪化した。
一方、同年10-12月の雇用判断のBSI(従業員が「不足気味」と回答した企業の割合から「過剰気味」と回答した「企業の割合を引いた数字」は、製造業で大企業、中堅企業、中小企業ともに「過剰気味」と回答。雇用調整の一段の加速が懸念される。
国内の景況について大企業・全産業でマイナス63・8、中堅企業・全産業、中小企業・全産業でそれぞれマイナス65・0、マイナス66・8と、いずれも2004年4月の調査開始以来、最低の水準となった。(廣島 清量)
● 二重労働者の時間外割増の計算に注意!
上記のような環境の中、期間労働者や派遣労働者の雇用契約解除が問題となっています。
不況下で仕事先を見つけるのが難しい中、やはり働けるのであれば働きたいと思う一方、フルタイムでの仕事を探すのは困難なため二重労働(複数の職場を兼業する)という道を選ぶ人もいるでしょう。
労働時間や賃金をめぐるトラブルは会社にはつきものですが、二重労働者については
特に注意が必要です。
労働基準法では法定の労働時間を「1週40時間・1日8時間」と定めており、これを
超える場合は割増賃金支払の義務が発生します。
労働基準法第38条1項には「事業場を異にする場合も、労働時間の適用に関する規定の適用については通算する」と定めており、“事業場を異にする”とは「事業主を異にする場合も含む」とされています。
そこで会社として気になるのは「どちらの事業主が割増賃金支払の義務を負うのか」ということだと思います。
原則としては「後で労働契約を締結した事業主」です。後から契約する事業主は、「労働者が他の事業場で労働していることを知りながら契約を締結する立場にある」からです。(廣島 三津子)