《源泉ありの口座で株譲渡 申告にメリットも》
株式の譲渡益は申告分離課税なので、ほかの所得と分けて申告する。一般口座で取引した場合は、自分で取引記録などから損益を計算して申告するが、特定口座での取引ならば、1月末頃までに証券会社から譲渡損益が記載された「年間取引報告書」が届くので、さほど手間はかからない。
また、源泉徴収がある特定口座での取引で損益が発生した場合なら、原則として確定申告は不要だが、申告をしたほうが“お得”なケースもある。
たとえば、一般口座および源泉徴収のない特定口座と源泉徴収のある特定口座、あるいは複数の金融機関の源泉徴収がある特定口座で取引があり、複数で売却益と売却損が生じた口座がある場合、損益通算して申告すれば税額を減らすこともできる。また、源泉徴収のある特定口座での売却損について、3年間の繰越控除を適用する場合も確定申告が必要になる。
《規模によって計算方法異なる不動産貸付け》
不動産などの貸付けで得た所得は不動産所得となるが、その規模が事業的規模かそうでないかで所得金額の計算が異なる。
たとえば、青色申告特別控除の場合、事業的規模なら一定要件を満たせば最高65万円まで控除できるが、そうでなければ最高10万円まで。また、賃貸料などの回収不能による貸倒損失は、事業的規模なら回収不能になった年分の必要経費になるが、事業規模でないと、収入の計上時期までさかのぼり、回収不能に対応する所得をなかったものとして再計算しなければならないなどの違いがある。
事業的規模は「社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうか」で判定する。ただし、建物の貸付けは、貸間やアパートなどの貸与なら独立した室数がおおむね10室以上である場合、独立した家屋の貸付けならおおむね5棟以上である場合なら原則事業とみなされる。
《給与所得のみでも確定申告が必要》
1)給与の収入金額が2,000万円を超える方
2)給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額が20万円を超える方
(注1)給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く)を差し引いた残りの金額が150万円以下の方は、申告は不要。
(注2)中途退職し、その後就職していない方、申告をすると税金が還付される場合あり。
《所得税の確定申告はいつからいつまで》
平成20年分の所得税の確定申告の相談及び申告の受付は、平成21年2月16日(月)から同年3月16日(月)まで。所得税の還付申告の方は、平成21年2月15日(日)以前でも申告書を提出することができる。 (廣島 清量)