現在の不況に対応するため政府は様々な融資対策を行っています。
そこで中小企業が利用しやすい公的融資の概要をご説明します。
融資は大きく分けて「公的融資」と「民間金融機関の融資」の2つに分類されます。中小企業が活用しやすいのは公的融資であり、「政府系金融機関(日本政策金融公庫※)の融資」と「信用保証協会の保障付き融資」があります。
※平成20年10月1日に国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫および国際協力銀行(国際金融等業務)が統合し、新たに株式会社日本政策金融公庫となりました。
日本政策金融公庫は民間金融機関では対応の難しい分野で小口融資や創業支援を推進しており、金融秩序の混乱や大規模災害等の危機発生時において国の財政支援を受けて指定金融機関に対して貸付等を行っています。
現在、指定金融機関となっているのは商工組合中央金庫と日本政策投資銀行です。日本政策投資銀行については、今年の3月10日に政府が同銀行に対し企業の資金繰り支援など危機対応に向けた基金を創設する検討に入りました。政府はこの案を21年度予算の成立後にまとめる追加対策の軸とする方向です。日本政策金融公庫においても最近のセーフティーネット貸付の実績は大きく伸びており、今年に入ってからは前年に比べ約250~350%増となっています。
こうしたことから今後融資が実現する可能性は高いと考えられます。
また、信用保証協会は中小企業が民間金融機関から融資を受ける際にその債務を保証することで中小企業の資金繰りの円滑化を図ることを目的とし、信用保証を行っています。利用するには信用保証料を支払うことになりますが、保証協会によっては担保を提供したときや業績が良好な場合には保証料が割安になります。
中小企業の借入限度額は、一般的に日本政策金融公庫では普通貸付が4,800万円以内、セーフティーネット貸付が別枠で同額4,800万円以内となっています。信用保証協会では普通保証の2億円と無担保保証限度額と同額の8,000万円を合わせた2億8,000万円を最高限度額としていますが、これらの一般保証限度額とは別枠で保証限度額が設けられています。ただしセーフティーネット貸付等の危機対応策の融資は申し込み期間が短期のものが多いため注意が必要です。
経済情勢の悪化により中小企業の資金繰りが正念場を迎えている今、こうした公的融資制度を活用するのも一つの手だと思います。 (岡村 香織)