中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)への加入企業が増えている。昨年来の景気悪化の煽りを受けて、企業倒産が相次ぐためで、平成20年度は同19年度より約1万件増加した。月々の掛金は、全額を損金に算入できるとあって、リスクヘッジに加え節税もできるという点も加入に拍車をかけているようだ。
同共済は、取引先が倒産し売掛金などが回収できない場合、掛金総額(上限320万円)の10倍相当額または回収が困難となった売掛金などの金額(上限3,200万円)のいずれか少ない金額を、無担保、無保証人、無利子で借入れできるという制度。連鎖倒産の防止が目的とあって、融資実行のスピードは非常に速く、昨年度の融資実行までの平均日数は10日だ。
同共済の月々の掛金は、5千円から8万円の範囲内で設定でき、この掛金は全額を税法上損金算入できる。また、積み立てた掛金は解約時に、加入期間に応じて設定されている割合で返金(40カ月加入で全額返金)されるため、会社の業績が好調なときに掛金を積み立てておき、業績が悪化したときに解約することで、リスクヘッジに加えて節税、貯蓄を効率良く行うことができる。
また、掛金の前払いも可能なため決算期末に1年分前払いすることで、その事業年度に1年分の前払掛金を損金算入できる。
さらに、東京都(東京都以外でも13の自治体)では同共済の掛金の一部を助成してくれる。
対象は新たに共済に加入し、共済掛金を6ヶ月以上納付した中小企業で、助成額は加入後6か月分掛金の4分の3、1件あたりの助成上限額は36万円(掛金上限8万円×6ヶ月×4分の3)である。 (廣島 清量)