先月の衆議院総選挙で政権交代があり民主党が与党となりました。民主党が政権をとった場合に税制はどのように変るのでしょうか?
マニフェストに記載されている税制に関する主な内容は、以下の通りです。
1. 法人に対するもの
中小企業に対する法人税率の引き下げ
課税所得800万円までの部分に対する税率が現行の18%から11%へ引き下げられます。(800万円を超える部分については30%)
特殊支配同族会社の役員給与の一部損金不算入制度の廃止
同族会社の1人オーナー会社に対して役員給与の一部を法人税の計算上経費から除外する制度が廃止されます。
2. 個人に対するもの
所得控除の一部廃止(控除から手当へ)
中学卒業までの子ども1人当たり26,000円支給する「子ども手当」が創設されることにあわせて、配偶者控除(38万円)及び扶養控除(38万円)が廃止されます。
※ 特定扶養控除(25万円)、老人扶養控除(10万円又は20万円)、障害者控除(27万円、40万円又は75万円)などの控除は残る予定です。
その他の寡婦(夫)控除、勤労学生控除についての記載はありません。
※ 廃止されるのは所得税計算上のみで、住民税の計算上の控除は廃止されない予定です。
老年者控除(50万円)の復活
平成17年度から廃止されていた老年者控除(50万円)が復活します。
公的年金等控除の増額
65歳以上の人の公的年金等から所得控除される金額の最低補償額が120万円から140万円に増額されます。
3. 自動車関連税制の暫定税率の廃止
ガソリン税、軽油引取税、自動車重量税、自動車取得税の暫定税率を廃止します。
4. 租税特別措置法の見直し
時限立法である租税特別措置法について見直しを行い、制度の恒久化又は廃止の方向性を明確にしていきます。
主な租税特別措置法には以下のものがあります。
① 住宅ローン減税 ②土地売買の所有権移転登記などの軽減税率 ③確定申告を要しない配当所得 ④法人の試験研究費の特別控除 ⑤中小企業投資促進の特別控除
これらはあくまでも、民主党のマニフェストに記載されただけのものであり、法律として実現されるのか又は、実現されたとしてもいつから適用されるのか、といったことについては、すべて今後の国会で決定します。 (水田 裕之)