日本においては今までのように輸出依存を中心とした大量生産型の製造業では、全国民に職を与えることはできないであろうといわれている。同じ運命を経験した英国、ヨーロッパはこの余剰人口を観光業などのサービス業で吸収している。
このように観光業を主要産業として位置づけている国は多く、またほとんどの国や地域で観光業の成長が図られている。
例えば、フランスには年間7,600万人(2003年)の観光客が訪れ、地元の各業界に膨大な金額を落とす。このため、経済上きわめて重要な業種の一つとなっており、政府は観光局を設置し、世界各国の出先事務所を通じて自国の観光や産業のPRを進めている。
日本でも、2002年のサッカー・ワールドカップ開催を契機に、外国人旅行者の増加を目指す「グローバル観光戦略」を策定。国土交通省がビジット・ジャパン・キャンペーンを展開し、2010年までに訪日客を倍増(1000万人)させる計画を立てている。
観光業は、旅行業(旅行代理店等)、宿泊業(観光ホテル等)、飲食業、運輸業(航空会社、バス会社等)、製造業(名産品、お土産製造等)、建設業(観光施設整備等)、その他の業種等、関連産業の裾野が広く、観光業が成長することによる経済の波及効果は大きい。
◎ 観光庁統計資料
主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計(2007年4月~2008年3月)
区 分 |
取扱額(百万円) |
取扱額(百万円)前年同期 |
比率(%) |
海外旅行 |
2,703,353 |
2,664,998 |
101.4 |
外国人旅行 |
62,795 |
49,693 |
126.4 |
国内旅行 |
4,051,904 |
3,942,755 |
102.8 |
合 計 |
6,818,053 |
6,657,447 |
102.4 |
訪日外国人旅行者数及び日本人海外旅行者数の推移
旅行者数(千人) |
1995年 |
2000年 |
2005年 |
2008年 |
日本人海外旅行者数 |
15,298 |
17,819 |
17,404 |
15,987 |
訪日外国人旅行者数 |
3,345 |
4,757 |
6,728 |
8,351 |
※ 観光庁のアクションプランでは訪日外国人旅行者数を2010年まで1000万人、2020年までに2000万人を目指している。
※ 外国人旅行者受入数国際ランキングでは日本は世界で第28位(アジアで第6位)である。
以上の統計資料でも解るとおり、観光業はこれからますます成長する事業分野であり、関連産業の裾野も広く、我々中小企業も自社の商品・サービスを提供する有力な事業分野として注目しておく必要がありそうだ。 (廣島 清量)