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中小企業の資金繰りを支援する電子手形

手形は合理的な支払手段でありながら、手形の作成・保管にかかるコスト、印紙税の負担、紛失・盗難のリスクなどの問題から近年、手形の利用が大幅に減少しています。

 こうした問題を解消し、事業者の円滑な資金調達を実現するための新しい金銭債権として、債権の内容を電子的な記録によって管理する電子記録債権制度(電子手形)が生まれ、平成20年12月に施行されました。全国約7000社が参加する見込みで、中小企業の資金繰りを支援するものとして注目されています。

 従来の紙の手形では売り手は期日前に取り立て依頼を銀行に出すなどして期日管理をしっかり行わなければならず、また、銀行で審査が行われるので現金化は翌営業日になるなど手続きに時間がかかっていましたが、これに比べ電子手形のメリットを掲げると次のようになります。

《便利な点》

      債権の割引や譲渡(従来の裏書)が、パソコンやFAX送信で行えるようになります。パソコン操作が苦手な方でもFAXが1台あれば利用できます。

      電子手形はペーパーレスなので従来の手形保管にかかる手間やコストが削減でき、紛失・盗難といったリスクがなくなります。

      電子的に債権が記録され「見える化=可視化」が図られ、手形の受け取りなどの作業に時間を取られません。また、WEBサービスを活用すればいつでもインターネット上で保有電子手形の確認ができます。

      納入企業など電子手形の受取側にとっては、売掛債権を早期に資金化することが容易になり、資金繰りの改善が期待されます。電子手形の場合、期日当日から資金利用が可能です。

      資金を受け取る決済口座は送金同様、普段取り引きしている全国の預金取扱金融機関の口座が利用可能です。電子手形なら期日が来ると自動的に決済され普段取り引きしている口座に入金されます。

      受け取った電子手形を異なる額面に小口分割することができます。電子手形は1000円以上、1円単位で分割して割引・譲渡が行えるので、スムーズな資金調達・資金決済が可能になります。

 以上のようにメリットが多い電子手形ですが、課題もあります。偽造発生を防ぐためのログイン時の厳格な個人認証や、企業・記録機関・金融機関の通信途中での改ざん防止の仕組み等、セキュリティ対策が必要となります。また、電子手形への移行を進めるためには、取引先である中小企業も対応が必要です。

(参考資料:日本電子債権機構 電手情報ポータルサイトhttp://www.den-te.com/)

                                       (岡村 香織)

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