平成22年の法人税に係る税制改正の中で、最も注目されているのが、グループ内取引に関する税制(以下、「グループ法人税制」といいます。)です。
以下、注目されているグループ法人税制のポイントを整理します。
○ グループ法人とは
完全支配関係にある法人間、つまり100%資本関係がある法人を一つのグループとしてとらえます。この中には個人が100%の株式を保有しているそれぞれの会社(それぞれの会社間で資本関係がない場合でも)も含まれます。
○ 強制適用
連結納税制度は選択制ですが、連結納税を選択しないグループ法人に対する制度は基本的には強制適用となります。(平成22年10月1日以後の取引等から強制適用)
○ グループ法人間の譲渡損益の繰り延べ
グループ法人税制の中でも主な改正としてグループ法人間の資産譲渡の取扱いがあります、すなわち、グループ法人間で一定の資産の移転を行ったことにより生ずる譲渡損益は、その資産のグループ外への移転等の時に、その移転を行った法人において計上することとなりました。
〔対象資産は固定資産、土地、有価証券、金銭債権及び繰延資産(売買目的有価証券、帳簿価額1千万円未満の資産を除く)棚卸資産は含まない〕
○ 制度運用から想定される問題点
想定される適用例
イ)グループ法人間で赤字会社を救済するために収益物件を譲渡する場合にその物件の時価が帳簿価格を上回る場合には10月1日以降の譲渡であれば課税の問題は生じません。
ロ)節税のためグループ法人間で帳簿価格が時価を上回る資産の譲渡を行う場合には9月30日以前が適当です。
経理方法
今後、企業会計上の経理処理と税法上の処理との問題、グループ外への譲渡が長期にわたった場合の煩雑さが予想されます。
その他、グループ法人でなくなった場合はどうなるのかなど、今後の取扱いが注目されます。
(廣島 清量)