現在では、何か物を購入する時には、直接店舗に出向くことなくパソコンを使ってインターネットショッピングを利用される方が多くなっています。
家にいながら商品を注文できる上、店舗で購入するよりも値段が安い事も少なくない為、時間を有効に活用したい人にとっては、無くてはならない購入手段だと言えます。
逆に、実際に商品を見ることなく購入するために生じる不安感や、クレジットカードによる決済に抵抗を感じている人も少なくないと思います。他にも「商品がイメージと違った」、「壊れている」などという問題が発生した時の販売者の対応や保証も不安材料の一つではないでしょうか?
こういったインターネットショッピングは特定商取引法上の通信販売に該当します。特定商取引法では訪問販売や電話勧誘販売など、販売者が一方的に有利な立場を利用できる販売形態に関しては、「消費者が自らの意思がはっきりしないまま契約してしまう事がある為、冷静に再考する機会を与える」という目的でクーリングオフ制度が設けられています。
しかし、インターネットショッピング等の販売形態は、訪問販売などと違い不意打ち性はなく、広告などを見て自発的に注文をしている為、上記のような消費者保護を目的とした制度の適用からは除外されているのです。(※業者が自主的に返品特約を設けている場合もあります)そのために、返品等をめぐる様々なトラブルが発生していました。
今回の改正(平成21年12月1日より施行)では、この様な問題に配慮し、クーリングオフと同じ効果を通信販売という形態においても適用できることとなりました。
具体的には、広告に返品の可否や条件を記載していなかった場合に、8日以内であれば返品が可能になったのです。ここでの注意点としては、この改正でクーリングオフが適用されるようになった訳ではないという事です。あくまでも記載が無かった場合にのみ適用されます。
つまり「返品不可」と記載されている様な場合には、それは有効となります。また、仮に返品ができた場合でも、返品時の送料は購入者の負担です。
ここまで購入者側の立場で説明しましたが、もちろん商品を購入するだけではなく、逆に販売する立場になることもあるでしょう。その際には上記の内容に関しては十分な注意が必要です。(斎藤 勝)