土地や建物などの不動産の貸付けによる収入が多くあるという会社は、不動産会社に限らず少なくありません。こうした不動産の貸付けでは、貸し付けている不動産の種類やその期間によって消費税の取扱いが異なってくるため注意が必要です。
まず、土地の譲渡や貸付けについてですが、これは原則として消費税の課税の対象ではありません。 例外として、貸付期間が1ヵ月に満たないごく一時的な貸付けについては、土地の貸付であっても消費 税の課税対象となります。
また、土地の賃借権等、土地に係る権利については非課税になります。こうした土地の借地権に係る更新料や名義書換料についても非課税です。
次に、駐車場や建物などの貸付けについてですが、これについては単なる土地の貸付とは異なり、施設の利用に付随して土地が使用されるため、消費税の課税対象になります。
駐車場については、駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備をしたり、フェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には、消費税の課税の対象となります。
これに対して、地面の整備やフェンス、区画などがない駐車場については、施設の利用に付随して土地が使用される場合には該当せず、土地の貸付けになります。このため、駐車場として貸していてもその賃料収入は非課税となります。このように、地面の整備などをしている場合としていない場合によって、同じ駐車場収入でも消費税の取り扱いが違ってきます。
そのほか、野球場、プール、テニスコートなどについては、施設の利用に伴って土地が使用される場合となるので消費税の課税対象になります。
建物については、住宅用建物の貸付けは貸付期間が1ヵ月に満たない場合などを除き、消費税の課税の対象とはなりません。
また、建物(住宅用建物を除く)などの施設の貸付けをする場合に、その使用料を建物部分と敷地部分に区分しているときでも、その総額が建物の使用料として消費税の課税の対象となります。(岡村 香織)