先日、会計事務所の集まりのセミナーに参加しました。セミナーでは中小企業金融は以下のような状況で非常に厳しいものがあり、我々もこの事実を共有して今後対処しなければならないとの結論を得ました。
リーマンショック後の中小企業の資金繰り対策として以下の大規模な政策金融が実施されています。
(中小企業庁金融課平成22年10月第1週発表の速報値)
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景気対応緊急保証 (保証協会) |
セーフティネット 貸付(日本公庫) |
危機対応業務 (商工中金) |
件数 |
1,246,740件 |
492,734件 |
49,722件 |
金額 |
225,565億円 |
85,300億円 |
30,174億円 |
中小企業への貸出残高約170兆円のうち2割の約34兆円が政策金融により投入されていることになります。
また、中小企業金融円滑化法(通称モラトリアム法)による返済猶予実施状況は以下のとおりです。 (平成22年6月末(信金・信組などは3月末)公表値)。
区分 |
件数 |
金額 |
主要行など |
83,459件 |
44,834億円 |
地方銀行など |
307,279件 |
89,125億円 |
信金・信組など |
160,008件 |
29,587億円 |
日本公庫 |
74,058件 |
8,862億円 |
商工中金 |
14,001件 |
5,636億円 |
合計 |
638,805件 |
178,044億円 |
上表から読み取れることは、約170兆円のうち約1割の18兆円に対して返済猶予が実施されていることになります。
つまり、政府による信用保証や金融円滑化法などの資金繰り支援策の効果で破綻が先送りされている可能性が高いということです。
また、貸金業法改正によるノンバンクの破綻やミドルリスク新銀行の相次ぐ破綻により、中小企業の資金調達手段は選択肢を狭められつつあり、中小企業金融は今後一層厳しくなりそうです。
このような状況の中、我々中小企業も返済原資確保のためには、収益力改善・営業力強化が不可欠であるとの認識に立たなければならないでしょう。
一方、情報を一番持っている金融機関がビジネスマッチング(顧客と顧客を繋ぐ)に取り組んでいるとはいうものの実際に有益な助言(新しい販売先や新しい仕入先の紹介など)を受けた企業の割合というのは少ないのが現状のようです。
そこで、我々会計事務所としては中小企業の収益改善・営業力強化のため、顧客と顧客を繋ぐという視点に立った活動を進めなければならないという結論に達しました。 (久保 康高)