9月10日、日本振興銀行が経営破綻し、これを受けて金融庁は史上初めてとなるペイオフの発動をしました。
ペイオフとは金融機関が破綻した場合に、破綻金融機関を清算して預金を払い戻す処理方法のことです。我々の預金を預かる銀行は万が一の倒産に備え、毎年預金量の一定割合を保険料として預金保険機構に支払っています。金融機関が破綻した場合には、預金保険機構が代わって1千万円とその利息を上限に預金者に支払います。
個人や法人など、1つの金融機関につき1預金者1千万円までの預金とその利息が保護されます。「1人1金融機関につき」とされていることから、1金融機関の中で複数の「商品」「口座」「支店」に預け分けている場合、いずれにおいても同一人の口座は1つにまとめられその上で1千万円とその利息しか保護されません。
1千万円を超える部分の金額については、まるっきり戻ってこないわけではなく、破綻した金融機関の財務状況に応じて支払われます。そのため、場合によってはいくらも戻ってこない可能性もあります。
また、1千万円の預金がない人はまったく無関係というわけではありません。銀行が破綻したら清算手続きが行われ、1預金者の複数の預金口座等の金額を合計する「名寄せ」という作業が終わるまで預金の引き出しができなくなるからです。
《ペイオフ対策としては》
① 安全な金融機関を選択する
預入先として安全な金融機関を選択することが最も重要です。ただし、その安全性を判断する絶対的な基準は存在しておらず、金融機関の株価や格付けをチェックし、自己の責任において健全性を判断することが求められます。
② 複数の金融機関に口座を開設する
万が一ということを考えると最低2つ以上の金融機関で口座を開設したほうがよいです。自分が管理できる範囲で、比較的安全と思われる金融機関の方の残高を多くしておくことも重要です。
③ 当座預金に預け入れる
当座預金にすれば預金残高は100%保証されます。
④ 決済用預金に預け入れる
決済用預金とは、無利息で満期などがなく、いつでも預金が引き出せ、公共料金などの引き落としに利用できる普通預金口座のことです。
⑤ 預金以外の商品にも資金を振り分ける
商工中金や郵便貯金など最終的に政府保証となっているので安全性が高い。 (伊藤 淳二)