平成23年度の税制改正大綱が閣議決定されました。
今回の改正は消費税を封印する一方で、個人所得、資産、法人課税、環境税導入まで対象とするなど幅広いものであり法人税以外ほぼすべて増税となったのが特徴です。
主な改正内容は以下の通りです。
1. 個人課税
① 給与所得控除の一部縮小
年間1500万円以上の給与所得者の給与所得控除額が縮小されます。
② 成年扶養控除の一部廃止
扶養親族のうち23歳以上65歳未満に対する扶養控除が廃止されます。
ただし、年間合計所得400万円を超える所得者のみが廃止の対象です。
③ 役員退職金の優遇税制の縮小
役員等としての勤続年数が5年以下の者に対して退職所得を1/2にする措置が廃止されます。
④ 相続税の基礎控除額の縮小
定額控除額が5000万円から3000万円へ縮小され、法定相続人比例控除額が一人1000万円から600万円へ縮小されます。
⑤ 相続税率及び贈与税率の改定
相続税について課税対象額が2億円(贈与税は年1500万円)を越えた部分の税率が変更され、最高税率も50%から55%に引き上げられます。
2. 法人課税
① 法人税率の引き下げ
法人税率が30%から25.5%へ引下げられます。
中小企業の所得800万円以下部分について18%から15%へ引下げ。
② 雇用促進税制
雇用を前年比10%以上かつ5名以上(中小企業は2名以上)増加させた場合に1人当たり20万円の税額控除が創設されます。
③ 減価償却制度の見直し
定率法の減価償却率が引き下げられます。
3. その他
欠損金の繰越控除枠の縮減及び貸倒引当金の適用業種縮小に関して資本金1億円以下の中小企業についての適用は見送られ、現行通りの適用になります。 (水田 裕之)