所得税の確定申告の時期になりました。個人の事業所得や不動産所得等のように毎年繰り返し発生する所得は申告を忘れることはありませんが、以下のような臨時的な収入は、確定申告のときにうっかり申告を忘れてしまうことがよくあります。
その結果、後で税務署から問い合わせがあり、修正申告をすることになりますので注意が必要です。
《一時所得》
◆ 生命保険契約等に基づく一時金
保険料又は掛金を自分で負担した生命保険契約等に基づいて支払いを受ける一時金又は退職金共済契約等に基づいて支払われる一時金で退職所得とみなされないものは一時所得になります。
なお、保険料又は掛金を他者(法人を除く)が負担していた場合は、他者からの贈与になりますので贈与税の申告が必要になります。
◆ 借家人の受ける立退料
借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料(事業所得又は譲渡所得とされるものを除く)は一時所得になります。
◆ その他一時所得には、損害保険契約等に基づく満期又は解約返戻金、懸賞の賞金等、競馬の馬券の払戻金などが該当します。
◆ エコポイントを取得した場合、ポイントを商品や商品券と交換した段階で、所得税法上、利益供与があったことになり、一時所得の課税対象になります。
《譲渡所得》
◆ 個人が車を売った場合はその車の利用状況により次の表のような扱いになります。
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業務用 |
生活用 |
レジャー用 |
譲渡益 |
譲渡所得として課税 |
非課税 |
譲渡所得として課税 |
譲渡損 |
損益通算可(注1) |
損益通算不可 |
損益通算不可(注2) |
(注1) 譲渡損失を他の所得の利益と相殺して所得計算ができます。
(注2) レジャー用の場合、損益通算は不可ですが一定の譲渡所得間では可能です。
◆ ゴルフ会員権を売った場合
ゴルフ会員権を売ったときは譲渡所得として事業所得や給与所得などの所得と合わせて総合課税の対象となります。ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができます。
◆ 生活用動産の譲渡による所得は非課税
生活用動産とは自己または親族が生活上使用している家具、什器、衣類などをいいます。なお、1個又は1組の価格が30万円を超える貴石、貴金属、書画、骨董及び美術工芸品などは、生活用動産であっても課税されます。(廣島 清量)