東日本大震災は中小企業の経営にも計り知れない影響をもたらすだろうといわれている。ただ、震災の直接的な被害が少なかった企業の中からすでに創意工夫により不足品のフル生産に動き出す企業も出始めているそうである。
創意工夫してこれを実施し実現するためにはかなりの時間・手間と先行投資(資金)が必要となる。
そこで中小企業者が経営革新を図り、経営革新計画を都道府県に提出し承認を得るとその取り組みに対して補助金や有利な融資制度の活用、販路の開拓支援等様々な支援が受けられる制度がある。
この制度の経営革新の内容としては「①新商品の開発又は生産 ②新役務の開発又は提供 ③商品の新たな生産又は販売方式の導入 ④役務の新たな提供の方式の導入その他」の新事業活動(新たな取組み)によってその経営の相当程度の向上を図ることが必要とされている。
中小企業庁のサイトから「新事業活動(新たな取組み)」の事例を抜粋してみた。
① 新商品の開発又は生産
産業廃棄物業者が、茶がらやさとうきびかす等の植物性廃棄物を、生分解可能な容器にリサイクルする技術を開発。これらの製品は環境に負荷を与えることなく、廃棄処理ができる。
② 新役務の開発又は提供
美容室が高齢者や身体の不自由な方等、自分で美容院に行くことが困難な方のために、美容設備一式を搭載した車で美容師が出張し、カットやブローの基本コースからヘヤメイクや着付け等のサービスを行う。
③ 商品の新たな生産又は販売方式の導入
果物の小売業者が、本格的なフルーツパーラーを開店。果実店で培われた果物についての知識等の強みを活かすとともにフルーツ&ベジタブルマイスターの資格を持つ店員が常駐し、高品質フルーツを使ったスイーツや野菜のフレッシュジュース、健康を意識した野菜を取り入れたランチメニューも提供。
④ 役務の新たな提供の方式の導入その他
不動産管理会社が、企業の空家となった社員寮を一括借り上げして、それを高齢者向けに改装し、介護サービス、給食サービスを付加して、高級賃貸高齢者住宅として賃貸する。
経営革新というと大変難しい印象を受けますが、経営者の皆様が日頃、仕事、業務について様々な工夫
をされていたり、何か新しい試みをお考えだったりすることがあるはずです。これらの工夫や新しい試みを計画に織り込んでいくことが経営革新計画そのものです。経営革新計画を作成することのメリットとしては①経営者が考えを整理でき、目標が明確になる ②社内外に明確な説明ができ、信用力がアップする
③支援措置やその他の施策の活用ができる、ということが挙げられます。(廣島 清量)