寄附する人を後押しするため、東日本大震災被災者支援に関する税制改正法が平成23年4月27日に成立し、寄附金控除の拡充が図られました。義援金の送り先と金額を決める上で参考にしてください。
以下、3つの寄附パターンをご紹介いたします。
1)義援金
日本赤十字社や「赤い羽根募金」で有名な中央共同募金が集める「義援金」がその代表例。
新聞社やインターネットのポータルサイトなどで集めているお金も、その多くが義援金として日本赤十字社などに寄附されます。義援金は被災者に対して直接お金を渡します。
2)自治体寄附(いわゆる「ふるさと納税」)
被災した県や市町村に寄附する方法。寄附金は各自治体が復興事業に使ったり義援金として被災者に現金を直接渡したりします。一般的に最もトータル税金が安くなるパターンです(住民税を中心に減税、寄附金額が高額の場合に有利)。
3)支援金
被災者を直接支援する事業にお金を出します。今回の税制改正で大幅に拡充されました。
具体的には「指定寄附金」として財務省が指定した認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)などへの寄附が対象となります(所得税を中心に減税)。
寄付金控除を活用するには、以下の要件を満たしていなければなりません。
○確定申告をすること。
○寄附金が金銭であること。
○申告書には領収書、義援金の受領証、募金団体から受け取った預かり証の添付をすること。
(街頭募金は受領証がもらえないため対象外)
ただ、税金を安くするために寄附したつもりはないので、手厚い税額控除に対して違和感を持つ人もいるかもしれませんが、還付された税金分をまた翌年新たに被災地の復興支援のために寄附するなど、中長期的な支援に繋げるという発想を持つとより上手に制度を活用できます。
なお、法人が義援金等を寄附する場合は、「国や地方自治体などに対する寄附金」や「指定寄附金」は全額損金になります。
義援金詐欺も横行しているとの報道がありますので、募金をされる場合には騙されないように十分な注意が必要です。 (久保 康高)