東日本大震災の影響により、首都圏の中小企業者においても取引先の被災や計画停電の実施、自粛ムードなど、直接、間接に事業を取り巻く環境が大きく変動しています。
また、これから夏場に向けて大幅節電の影響により、事業活動がこれまで以上に変動する場合も想定されます。
このような状況の中、我々企業も経営全体の見直しと管理の構築を迫られています。経営の見直し、管理の構築をする場合に大変便利な整理手法がありますので以下にご紹介いたします。
最近、「バランス・スコアカード」が経営管理の手法として注目されています。
バランス・スコアカードは、ハーバード・ビジネススクールの教授達によって提唱された、企業の業績を評価するためのツールです。企業の業績を財務の結果だけで見るのではなく、その財務の結果を生み出す過程を見ていこうというものです。
すなわち、結果を生み出す過程を財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の四つに分けて①財務の視点(財務的な業績目標)②顧客の視点(顧客の満足度)③業務プロセスの視点(業務の効率化)④学習と成長の視点(社員の能力向上)で業績を評価し、戦略の実行を促そうというのがバランス・スコアカードです。
この四つの視点は、相互に関連性を持ちます。顧客の視点は財務の視点に対する手段であり、業務プロセスの視点は財務の視点と顧客の視点の手段となり、学習と成長の視点は顧客の視点と業務プロセスの視点の手段となるわけです。
上記の図表はバランス・スコアカードのフレームワークとしてよく用いられます。例えば、①財務目標を達成するためには、②顧客の要求を満足させる必要があります。そのためには③顧客の要求を満たす仕組みは如何にあるべきか、④社員の能力向上をどう図るかを考えて、それぞれその考えに沿った目標を設定して、結果を管理して行くのです。このようにバランス・スコアカードは会社の全体目標を現場レベルに落とし込むのに便利なツールです。(廣島 清量)