平成23年4月以降、国民健康保険法施行令の改正に伴い、保険料算定方式が変更になっています。
従来、住民税を基準に賦課決定されていた(住民税方式)のですが、旧ただし書き所得(所得-基礎控除)を基準として賦課決定されています(旧ただし書き方式)。
主な変更点は以下の通りです。
内容 |
23年度 |
22年度 |
備考 |
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所得割算定方式 |
旧但し書き方式 |
住民税方式 |
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所得割料率 |
基礎分(医療分) |
改正所得 ×6.13% |
(所得―所得控除)×8% |
税額控除と調整控除額は無視 |
高齢者支援金分 |
改正所得 ×1.96% |
(所得―所得控除)×2.3% |
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均等割額(年額) |
基礎分(医療分) |
31,200 |
31,200 |
変更なし |
高齢者支援金分 |
8,700 |
8,700 |
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賦課限度額 |
基礎分(医療分) |
510,000 |
500,000 |
それぞれ 1万円増額 |
高齢者支援金分 |
140,000 |
130,000 |
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介護分基準均等割額 |
13,200 |
12,000 |
1,200増額 |
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介護分所得割料率 |
改正所得× (0.77~1.64%) |
(所得―所得控除)×1.8% |
区ごとに料率が異なる |
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賦課限度額 |
120,000 |
100,000 |
2万円増額 |
※1 表は、東京23区の場合であり、表中ではただし書き所得を「改正所得」と省略している。改正所得とは、所得から基礎控除33万円を引いた金額である。基礎分(医療分)と後期高齢者支援分は0歳~74歳が対象となる。
住民税方式については、表を簡便化するために税額控除と調整控除額を無視している。
※2 介護分は40歳~64歳が対象であり、介護分所得割料率は東京23区の場合、千代田区が0.77%と最も低く、足立区が1.64%と最も高くなっている。
国民健康保険料の課税限度額が50万円から51 万円へ、後期高齢者支援金部分については課税限度額が13万円から14万円へ、介護保険部分についても課税限度額が10万円から12万円へ引き上げられました。3つを合わせると、限度額が73万円から77万円に増額されました。
この算定方式の変更により、以下の影響が出ます。
○賦課限度額に達するような高所得者は、保険料が増加する。
○所得控除(配偶者控除、扶養控除、医療費控除、保険料控除、小規模企業共済等掛金控除など)や税額控除(住宅ローン控除、寄付金控除、調整控除など)が多く、保険料が相対的に減額されていた(節税していた)家庭は大幅に保険料が増加する。逆に所得控除や税額控除があまり無い家庭は、保険料の大幅な増加は避けられる。(久保 康高)