昨今の厳しい経営環境に対応するためには雇用の改善(生産性向上、新分野への進出、高度な専門知識が必要等)が経営課題の一つに挙げられる。
前回は雇用促進税制について説明させていただきました。今週は人材の能力開発、教育訓練に関する助成金・奨励金制度についてご紹介いたします。
◆ 中小企業雇用創出等能力開発助成金
都道府県知事から改善計画の認定を受けた個別中小企業者等が、その改善計画に基づき、高度な人材の確保、新分野への進出等のために従業員に対し職業訓練等を実施した場合、これにかかる経費及び賃金の一部が助成されます。
◆ キャリア形成促進助成金(訓練等支援給付金)
雇用する労働者のキャリア形成を促進するために年間職業能力開発計画に基づき、次の①から⑤に取り組む事業主に対する経費助成・賃金助成措置です。
① 専門的な訓練に対する助成(対象職業訓練)
その雇用する労働者に、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させることを内容とする職業訓練等を受けさせる事業主に対して助成されます。
② 短時間等労働者への訓練に対する助成(対象短時間等職業訓練)
雇用する短時間等労働者(パートタイム労働者)に高度な技能及びこれに関する知識を習得させるための職業訓練等又は通常の労働者への転換に必要な技能及び知識を習得させるための職業訓練等を受けさせる事業主に対して助成されます。
③ 認定実習併用職業訓練に対する助成(対象認定実習併用職業訓練)
厚生労働大臣の認定を受けた「実習併用職業訓練(実践型人材養成システム)」を実施する事業主に対して助成されます。
④ 有期実習型訓練に対する助成(対象勇気実習型訓練)
フリーターや子育て終了後の女性、母子家庭の母親の方など職業能力形成機会の少ない方又は新規卒業者に対して、企業内におけるOJTと教育訓練機関等で実施されるOFF–JTを効果的に組み合わせて実施される有期実習型訓練を実施する事業主に対して助成されます。
⑤ 自発的な職業能力開発の支援に対する助成(対象自発的職業能力開発)
従業員の自発的な能力開発を支援する制度を就業規則または労働協約に設け、従業員の能力開発にかかる経費の負担や職業能力開発休暇の付与を行う事業主等に対して助成されます。
◆ 既卒者育成支援奨励金
今後、人材需要が見込まれる成長分野の中小企業と、厳しい雇用環境の中、卒業後も就職活動を継続中の3年以内既卒者とのマッチングを図り、長期的な人材育成につなげるための奨励金(対象者一人当たり最大125万円)です。 (廣島 清量)