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無担保で資金調達できる私募債とは

新規事業を立ち上げたい、設備・運転資金が足りないという場合、民間金融機関である都市銀行・地方銀行・信用金庫や政府系金融機関の日本政策金融公庫などからの借入れを考えるのが、中小企業としては一般的です。いっぽう、金融機関は融資を行う場合、当然、査定ルールに従って融資額を決定しますので、中小企業が希望した資金全額を借入れ出来るとは限りません。別な資金調達方法として最近、新しい動きとして少人数私募債が見直されつつありますので以下にご紹介いたします。

 少人数私募債とは、一定条件を満たした場合に無担保でかつ行政官庁への届出義務がなく発行できる社債です。特別な行政手続が不要なので中小・零細企業でも発行が比較的簡単にできます。金融機関からの一般的な融資とは別に、縁故者や役職員、取引先などから直接資金を調達するで、会社法上の会社(株式会社、合同会社、合資会社、合名会社、特例有限会社など)なら、信用と償還能力があれば発行することができます。

 少人数私募債を発行するには満たすべき様々な条件があります。

 縁故者に限定して募集することに加えて、6ヶ月以内に少人数私募債を再び発行する場合は、購入者が合わせて50人未満となるようにしなければなりません。なお、6ヶ月を越えれば再び49人まで勧誘できることになります。

 また、募集総額が1億円未満であることが必要です。ただし、2年以内に少人数私募債を再び発行する場合は、募集総額の合計額が1億円未満でなければなりません。

 少人数私募債のメリット・デメリットは以下の通りです。

《少人数私募債のメリット》

連帯保証人や担保が不要

短期間に発行可能

社債利率は銀行等からの調達金利を参考に、自社の裁量で決定可能

複雑な行政機関による外部審査が必要ない

少額のコストで発行可能

社債利息は全額損金に計上可能

銀行借入のように毎月の元利返済がない(社債は一括返済)

社債利息は分離課税で確定申告の必要がなく税率20%のため、出資者自身の収入の総合課税率を下回るケースがある。

貸借対照表において役員借入金から社債の科目にすることで、金融機関での格付けが高まる効果がある。

《少人数私募債のデメリット》

償還時に多額の資金が必要(書換可能)

経営者・会社に信用力がなければ第三者の引受手を探すのが難しい。

社債は相続時に相続財産になる。                   (岡村 香織)

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