経営を行っていく上で常に意識しなければならないのが、経営資源である言われます。
そして、大切なことは経営資源の配分を意識する必要があるということです。
経営者の仕事は、経営資源「人・物・金・情報」を最適に配分することであり、最適に配分されているかどうか、業務が滞りなく効率的に行われているかを定期的に管理することです。
決算書を分析することで「人」「物」「金」の効率を見ることができますので、以下で説明させていただきます。
1)「人」の効率
「人」の効率は労働生産性で見ます。労働生産性は付加価値額を従業員数で割って算出します。付加価値額は粗利益とも言われ次のような式で計算されます。
※ 粗利益=売上高-(仕入高+外注費+作業用消耗品費+その他の変動費)
※ 労働生産性(一人当たり稼ぎ)=粗利益÷従業員数
中小企業(黒字企業)の一人当たりの稼ぎは平均で年間800万円から900万円程になっています。
また、中小企業(黒字企業)の労働分配率は50%から60%程です。
※ 労働分配率=人件費÷粗利益 ←粗利益のうちどのぐらいが人件費か。
2)「物」の効率
「物」の効率を見る指標の一つに「たな卸資産回転期間」があります。「たな卸資産回転期間」とは商品又は製品、原材料がどれくらいの期間(売上の何日分)、在庫として滞留しているかを表すもので次のような式で計算されます。
※ たな卸資産回転期間=たな卸資産÷年間売上高×365
計算される数値は少なければ少ないほど良い、在庫の滞留期間が短ければ運転資金も少なくて済むからです。
中小企業(黒字企業)の「たな卸資産回転期間」は業種別では次のようになっています。
建設業42.5日、製造業34.7日、卸売業21.8日、小売業27.6日(TKC21年度数値より)
3)「金」の効率
「金」の効率を考える場合、代表的なものとして運転資金があります。運転資金は一般的には有利子の借入金でまかなっているので金利負担もあり少ないにこしたことはありません。運転資金は売上の何日分必要とされるか、次のように計算されます。
※ 必要運転資金=[a売上債権回転期間+bたな卸資産回転期間]-c買入債務回転期間
つまり、「a売掛金が現金として回収されるまでの日数」+「b在庫として寝ている日数」-「c仕入先から資金を調達している日数」となります。
中小企業(黒字企業)の「必要運転資金」は業種別では次のようになっています。
建設業55.7日、製造業65.6日、卸売業34.3日、小売業24.8日(TKC21年度数値より)
◎ 以上の指標を参考に自社の状況と比較され管理にお役立て頂ければ幸いでございます。(廣島 清量)