労働基準監督署では、労働基準法などの法律が守られているかどうかの調査を強化しています。この背景には①労働者の健康保持のため長時間労働やサ-ビス残業の取り締まり強化②労働者側の申告や内部告発の増加などがあります。
調査があった場合の主な調査事項は以下のものです。
1.36協定があるか?※1
2.残業単価の計算が適正か?※2
3.残業時間と残業手当の金額が合っているか?
4.毎日の残業時間を切捨てにしていないか?
5.残業手当に上限を設けていないか?
6.従業員が10人以上の場合、就業規則があるか?また、法改正に合わせて変更しているか?
7.定期健康診断を受けているか?
※1 36協定とは時間外労働・休日労働に関する協定のことであり、この協定を所轄労働基準監督署に届け出ることで本来労働基準法で禁止されている法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて労働することを認めるものです。
従って36協定の締結及び届出がなされていない場合に法定労働時間を超えて残業させてしまうと労働基準法違反になります。
※2 残業単価の計算から除外できる手当は、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金に限定されており、これ以外の手当は除外できません。
~法令違反があった場合~
事業所の法令違反に対して行われる行政指導のことを是正勧告といいます。
是正勧告を受けた場合には指定期日までに指摘事項を改善し是正報告書を労働基準監督署に提出しなければいけません。
もし是正をしない場合や報告書の提出を怠った場合にはすぐに送検(司法処分)されるわけではありません。再度是正する機会を与えられますが、それでも直さないあるいは虚偽の報告をするなど悪質と判断された場合に送検手続がとられることになります。
昨今、企業のコンプライアンス(法令順守)が叫ばれていますので、いつ調査を受けても大丈夫なように一度会社の人事労務管理を見直してはいかがでしょうか。(水田 裕之)