雇用の拡大と労働者の能力向上を目的とした助成金制度「成長分野等人材育成支援事業」(平成24年3月31日までの暫定措置)において、東日本大震災による被災者の雇用を促進するために制度の拡充が行われています。
成長分野等人材育成支援事業助成金とは、健康・環境分野及び関連するものづくり分野において従業員を雇用等しOff-JT (通常業務を離れて行う職業訓練)を実施した事業主に対し、訓練費用の助成金を支給する制度です。
これに加えて、東日本大震災による被災者を新規雇用・再雇用した場合の制度拡充内容は次の2点です。
・業種を問わず訓練費を助成する。
・OJT(労働者に仕事をさせながら訓練を行う)も助成対象になる。
※OJTのみでは対象とならず、Off-JTとOJTの組み合わせが対象となります。
助成対象となる事業主の要件は、以下の①または②に該当する中小企業事業主です。
①青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野の各県のうち災害救助適用地域に所在し、以前雇用していた労働者を再雇用し(※1)、以前とは異なる職種や職場環境の下で円滑に就業させるため、Off-JTのみ、またはOff-JTとOJTを組み合わせた職業訓練を行う事業主
※1 以前に雇用していた労働者で、平成23年3月11日以降同年7月10日までの間に離職した者を、雇用期間の定めのない労働者として再び雇い入れる場合等
②新規に雇い入れた被災離職者等(※2)に、Off-JTのみ、またはOff-JTとOJTを組み合わせた職業訓練を行う事業主
※2 以下の(1)または(2)に該当する者であること
(1)平成23年5月1日以前に雇用期間の定めのない労働者として雇い入れた労働者であり、以下のアからウのすべてに当てはまる者
ア 東日本大震災発生時に特定被災地域において就業していた
イ 震災後に離職し、その後安定した職業についたことがない
ウ 震災により離職を余儀なくされた
(2)特定被災地域に居住する平成24年3月以降卒業予定の新規学卒者
支給額は1訓練コース当たり合計20万円(Off-JTで大学院を利用した場合には50万円)を上限とし、対象者1人当たり3コースまで助成対象になります。
この助成金を申請するためには、事前に職業訓練計画を作成し都道府県労働局長の認定を受けるなど、手続・審査に時間がかかることもあるため注意が必要です。(岡村 香織)