売掛金の請求を内容証明郵便で請求しても相手が応じてくれなかったり、反応がない場合には、裁判所の力を借りて相手に支払をするように請求する「支払督促」という制度があります。支払督促とは、通常の訴訟手続とは異なり,申立書の内容に筋が通っていれば,書類だけの比較的簡便な手続によって,裁判における判決を受けた場合と同一の効果を簡易迅速に得ることのできる制度です。
支払督促の手続きは比較的簡単で、お金を請求する相手方の住所を管轄している裁判所に所定の用紙(簡易裁判所にある『申立書』)に必要事項を記入して、提出するだけです。
裁判所はこの申立書の書面審査を行い、その内容に問題が無ければ裁判所から相手方に支払い督促状を送ってもらう事ができます。
●支払督促の効果
相手方に送られるのは裁判所からの督促状ですので、相手方はかなりのプレッシャーを感じるはずです。また支払督促は2週間以内に相手が異議を申し立てなかった場合は仮執行宣言の申立(これから強制的に財産を取り立てる宣言)をすることができ、更にそれに対しても異議申立てが無かった場合は、強制執行という形で相手方の財産を差し押さえ、強制的に回収することが出来るようになります。
●支払督促のメリット
・手数料は通常裁判の半分
・請求する金額に上限はない(少額訴訟は60万円まで)
・原則として申立人が記載した理由のみで発令され、証拠調べや審理が行われない
●支払督促のデメリット
・相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申立てなければならない
・相手が住所不定の場合は使えない
・相手方が異議申立てをした場合、通常訴訟に移行する
・通常訴訟に移行した場合、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所で裁判が行われる
以下のような法人の方は支払督促がオススメです
・請求の内容に間違いが無く、契約書等で債権の有効性を証明出来る方
・請求の内容に間違いが無く、異議申立てされる可能性が少ない方
・異議申立てされたとしても、相手方の住所地が自分の住所地と近くの方
・売掛金の回収を目的としている方(伊藤 淳二)