総務省統計局の23年11月分労働力調査によると、就業者数及び雇用者数は前年同月に比べ増加し、求職理由における「勤務先の都合による失業」も減少している事からも、少しずつ環境は改善してきている様に見えます。しかし、非労働力人口は増加しており、状況が改善するまで求職活動自体をあきらめてしまう方もいるなど、依然として厳しい状況は続いています。「ハローワークで求人を見つけて応募したら、応募者数の多さに驚いた」という話も聞きます。こんな厳しい環境だからこそ、中には自身の経験や知識を活かして「自分の力でやっていこう」という、前向きな離職を決断する人もいるかもしれません。ハローワークは次の就職先を探す際に利用する機関の一つである為、独立を視野にいれている方にとっては、その後ハローワークを利用するということ自体、なかなか思いつかない可能性があります。しかし、そういった方でも離職後はハローワークへの求職手続きをした方が良いケースがあります。
その内の一つ「再就職手当」とは、会社等を離職した雇用保険受給資格者が、受給資格の決定を受けた後に、早期に安定した職業に就く、もしくは事業を開始した場合などに支給される手当の事で、23年8月に改正があり、給付率が10%引き上げられています。
事業を新たに開始した際の受給要件としては・・
●その事業により、受給資格者が自立することができると認められるものであること。
●受給手続き後、待期期間満了後(7日間)に事業を開始(準備期間がある場合は準備期間)したこと。
●給付制限(注1)を受けた場合には、最初の1か月が経過した後に事業を開始したこと。
●基本手当の所定給付日数(注2)の残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
などがあります。
手当の支給額 =基本手当日額(注3) × 所定給付日数の残日数 ×(50%又は60%)となっており、早く再就職した方が給付率は高くなります。
(※所定給付日数が3分の2以上で60%、3分の1以上の場合で50%)
(注1)給付制と限は、正当な理由のない自己都合による退職や、自分の責任による重大な理由により解雇された等により退職した場合に、7日間の待期期間に加え、最大3か月間、手当の受給を受ける事ができなくなる事です。
(注2)所定給付日数は自己都合等での離職の場合は、加入期間10年未満で90日、10年以上20年未満で120日等となっています。倒産や解雇による離職の場合には、加入年数や離職時の年齢、障害の有無等により90日から最長360日です。
(注3)原則として離職した日の直前6か月間に支払われた賃金(賞与などは除く)の1日あたりの金額のおよそ50%から80%(60~64歳については45%から80%)で賃金の低かった人に高い率となるように定められています。 (斉藤 勝)