平成24年度税制改正では、相続税や贈与税などの資産課税の見直しについては盛り込まれず先送りとなっていましたが、1月6日に正式決定した社会保障・税一体改革の素案に盛り込まれました。ただしまだ素案の段階であり、これから野党との協議を行っていくため今後の国会審議動向等により内容が変更される可能性があります。今回は贈与税を中心にご紹介いたします。
贈与税については、若年世代への資産移転をより一層促進するため、20歳以上の子や孫への贈与を対象に税率構造を緩和する予定です。最高税率は4,500万円超で55%(現行1,000万円超で50%)に引き上げるものの、税率区分を現行の6段階から8段階にして3,000万円以下の贈与は税率を軽減するため、税負担が減少する可能性があります。
それ以外の贈与を対象とした税率構造も、最高税率は3,000万円超で55%(現行1,000万円超で50%)に引き上げますが、税率区分を現行の6段階から8段階にして1,000万円超から1,500万円以下の贈与については税率軽減になります。
さらに、親子間の生前贈与を促す相続時精算課税制度についても受贈者の範囲に20歳以上の孫(現行:推定相続人のみ)を加え、贈与者の年齢要件を60歳以上(現行:65歳以上)に引き下げるなど、適用要件の緩和が見られます。
以上の贈与税や相続時精算課税制度の見直しは2015年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用します。
また、住宅取得資金の贈与税非課税枠は延長、拡充される見込みです。2011年12月末で期限切れとなる現行制度では1,000万円の援助まで贈与税がかかりませんが、この非課税枠を2014年まで3年間延長する予定です。
◎省エネ性または耐震性を満たす住宅
2012年:1,500万 2013年:1,200万 2014年:1,000万
◎上記以外の住宅
2012年:1,000万 2013年:700万 2014年:500万
以上のように、取得する住宅が省エネルギー性または耐震性の基準を満たす場合は非課税枠が500万円上乗せされ、2012年は1,500万円になりそうです。この基準は現行の省エネ基準または耐震等級2以上となる見込みです。
東日本大震災被災者(震災により住宅用家屋が滅失等をした方又は住宅用家屋が原発警戒区域内に所在する方)の場合の非課税枠は、3年間1,000万(省エネルギー性または耐震性の基準を満たす場合は1,500万)となる予定です。
あくまでも、今回の内容は決定ではなく、今後の国会審議動向等により内容が変更される可能性がありますのでご注意ください。(岡村 香織)