2011年12月2日に東日本復興財源確保法が公布され、所得税の源泉徴収義務者は、2013年1月1日から2037年12月31日までの間に生ずる所得について、源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納期限までに、その復興特別所得税を源泉所得税と併せて国に納付しなければならないこととされました。源泉徴収した所得税と復興特別所得税は、その合計額を1枚の所得税徴収高計算書(納付書)により納付します。
源泉徴収すべき復興特別所得税の額は、源泉徴収すべき所得税額の2.1%相当額とされています。復興特別所得税の源泉徴収は、所得税の源泉徴収の際に併せて行うこととされているため、源泉徴収の対象となる支払金額等に対して合計税率を乗じて計算した金額を源泉徴収します。つまり計算式は、「支払金額等×合計税率(%)=源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額」となります(1円未満の端数は切捨て)。所得税率に応じた合計税率(所得税率(%)×102.1%)は、所得税率5%は5.105%、7%は7.147%、10%は10.21%、15%は15.315%などとなります。例えば、税理士報酬として消費税抜き10万円を支払う場合(所得税率10%)の算式は、「10万円×10.21%(合計税率)=1万210円」が源泉徴収すべき額となります。
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毎月の給与等から源泉徴収する場合では、2013年1月1日以後に支払う給与等から源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額は、「源泉徴収税額表」に当てはめて算出することになります。したがって、2013年1月以降に源泉徴収する際に使用する「源泉徴収税額表」は復興特別所得税を含んだ税額表に変更されるので、2012年分以前の源泉徴収税額表を使用しないように注意が必要となります。
下記は平成25年・平成26年分の所得にかかる所得税・住民税を求める表です。復興特別所得税を加味すると、最高税率は50.840%となります。
課税所得 |
所得税・住民税の合計税率(%) |
控除額(円) |
195万円以下 |
15.105 |
0 |
195万円超 330 〃 |
20.210 |
99,548 |
330 〃 695 〃 |
30.420 |
436,478 |
695 〃 900 〃 |
33.483 |
649,356 |
900 〃 1,800 〃 |
43.693 |
1,568,256 |
1,800〃 |
50.840 |
2,854,716 |
会社経営上、身近な源泉徴収の場面としては株式等の譲渡益の発生時、給与・賞与の支払い時、退職金の支払い時、報酬・料金等の支払い時、非居住者等への支払い時などが挙げられます。特に将来、多額の退職金支給や株式譲渡を予定されている場合は、多少の負担影響が出ます。(久保 康高)