平成22年9月24日、厚生労働省のホームページに「モデル就業規則」が掲載されました。
常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。また、変更する場合も同様に、届け出なければなりません。
就業規則は企業単位ではなく、事業場単位とされており、例えば、1企業で2以上の営業所等を有している場合、企業全体の従業員(パート・アルバイト含む)の数を合計するのではなく、それぞれの営業所等を1つの事業場としてとらえます。
就業規則には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)、決まりがあれば記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります。
絶対的必要記載事項は次のとおりです。
(1)労働時間関係 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項 (2)賃金関係 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 (3)退職関係 退職に関する事項(解雇の事由を含みます。) |
このように見るとどれも当たり前のように感じますが、22年に実施された定期監督等の実施結果(23年5月17日東京労働局発表)では、労働時間に関する違反件数が最多でした。
また、就業規則の作成等についての違反も多いことから、このような結果を招いているのは就業規則を整備していないこと自体にも関係があるのかもしれません。
ところで最近では不況の影響もあり、助成金を受けられる条件等の範囲が広がってきています。
助成金の申請をするときには就業規則の提出を求められます。つまり、就業規則の作成義務がない企業であっても助成金を受けようとする際には就業規則を備えていなければなりません。
しかし、就業規則は「助成金の申請のために」作成する、というのではなく、「従業員と会社双方を守るためのもの」として備えておくことが大切ではないでしょうか。
なお、今回掲載されたモデル就業規則はそのまま使用するのではなく、会社の実情に沿って作成しなおす必要があります。一度参考に見てみてはいかがでしょうか。(廣島 三津子)