クールビズが実施されるなど、今年も暑い夏を感じる季節となりました。昨年は電力不足による節電に苦慮したことを思い出します。東京電力が企業向けの電気料金を平均17%値上げするなどもあり、今後は電力不足対策だけではなく、コスト対策のための節電も必要になってくるようです。
そこで以下、節税にもなる節電のための投資について税務上の取り扱いをご紹介いたします。
1)太陽光発電設備等を導入した場合
太陽光発電設備等や電気自動車、高断熱窓については環境関連投資促進税制で、すでに優遇措置が設けられていますが、平成24年度の税制改正においてその内容が拡充されています。
従来は、平成23年6月30日以後に取得し取得後1年以内に事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度で、下記①、②のいずれかの適用を受けることが出来ましたが、平成24年度の税制改正において一定の要件を満たす太陽光発電設備等については、新たに③の100%即時償却の適用を受けることが出来るようになりました。
① 中小企業に限り、取得価額の7%相当額の税額控除
② 青色申告を要件として、普通償却に加えて取得価額の30%相当額までの特別償却
③ 青色申告を要件として、取得価額の全額を償却できる特別償却(100%即時償却)
2)蛍光灯型LEDランプを取替えた場合の取替費用
固定資産の修理、改良等のために支出した金額については、その固定資産の維持管理や原状回復のためのものであれば修繕費としてその事業年度の費用になりますが、その固定資産の価値を高め、または耐久性を増すためのものであれば資本的支出とされ、資産に計上して減価償却によって使用期間にわたり費用化することになります。
蛍光灯型LEDランプへの取替費用については、照明を蛍光灯からLEDランプに取替えることで節電効果が得られ使用可能期間が向上していることから、資本的支出に該当するのでは、との見解もあります。
しかし、国税庁がこのほど更新した質疑応答事例では、修繕費として処理できることが分かりました。質問は、「節電対策として自社の事務所の蛍光灯100本すべてを蛍光灯型LEDランプに取替えることを考えているというもの。取替えに当たっては、建物のピットに装着された照明設備の工事は特に行わない。LEDランプ1本当りの購入費用は1万円、取替え工事費は千円。合計で110万円の費用。」という内容になっています。回答では、「節電効果があり使用可能期間が延びたことで、固定資産の価値を高め、またその耐久性を増しているから資本的支出に該当するのではないかとも考えられるが、蛍光灯やLEDランプは照明設備がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物付属設備としての価値が高まったとまでは言えない。」と判断し、修繕費としての処理を認めています。(廣島 清量)