近年、事業主の皆様の関心の高いものとして「助成金」が挙げられます。
“雇用保険”といえば、いわゆる失業保険で広く知られています。
そのため、労働者に対するものと思われがちですが、助成金制度も雇用保険の中で行われており(雇用保険二事業)、助成金の財源は事業主負担による雇用保険料で賄われています。
現在、多くの助成金がありますが、その中からの4つを以下のようにまとめました。
名 称 |
要 点 |
支給額 |
中小企業基盤人材確保 助成金 |
創業・異業種進出をする事業主が、経営基盤の強化に資する労働者を新たに採用した場合 |
基盤人材一人当たり140万円(5人を限度=最大700万円) |
特定求職者雇用開発助成金 |
ハローワークの紹介により、60歳以上の者等一定の要件に該当する労働者を雇用保険の被保険者として雇用した場合 |
最大240万円(中小企業の場合) |
トライアル雇用助成金 |
ハローワークの紹介により一定の要件に該当する者を試用雇用をした場合 |
1人につき月額4万円(3カ月を限度=最大12万円) |
定年引上げ等奨励金 |
65歳以上への定年の引き上げ等を実施した場合 |
(実施した措置、企業規模に応じて)最大160万円 |
厚生労働省管轄の助成金は要件に該当し、決められた期限内に手続きをすれば原則として支給されます。しかも、返済の必要はありません。
ただし、ひとくちに「手続き」と言っても、なかなかスムーズにいかないのが実状です。
理由はさまざまですが、そのうちのひとつに“提出書類が多い”ということが挙げられます。助成金の種類によっては必要な資料が分厚いファイル何冊にもなってしまうこともあるようです。
また、助成金を紹介しているパンフレット等は概要をまとめたものが多いですが、助成金の支給要件は実は非常に細かく設定されているものが多く、単にそれらを見ただけでは対象になるかどうかを容易に判断することができません。対象とならないのに対象だと思い込み申請準備を始めてしまうと、実際に行動を進めていくなかで要件に該当しないことが判明するといったこともあり得ますので、該当するかどうかは、事前にハローワーク等へ確認することをおすすめします。
なお、近年では新たな雇入れに関する助成金が多いため、普段は一般の広告で求人をしている会社でもハローワークを利用することで、本来助成金が目的でなくとも良い人材が見つかった際に助成金の対象となる機会が発生する可能性もあります。
大切なのは「助成金を受けたいがために何かをする」のではなく、「何かをしたら助成金の対象になった」「(会社が決定したことに対して)対象になる助成金はあるのだろうか?」というようなことなのかもしれません。(廣島三津子)