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そのお金、だれのものですか?

「会社は株主のもの」と良く言われます。大企業であれば、株主とは不特定多数の投資家であり、会社の利益に応じて配当を受ける権利を有する為、自分が出資している会社が健全な経営をしているかどうかを厳しく監視しています。一方で社長をはじめとする経営者は、その株主から経営を任されているという立場になり、会社の持ち主である株主からの高い要求に応えるべく、必死に会社の経営を行っていると同時に、もし要求に応える事ができなければ「解任」というリスクと重責を常に負っています。    

では、中小企業の場合ではどうでしょうか。中小企業においては、社長が「株主」であり、「経営者」でもある事がほとんどです。会社のお金の使途はもちろん、経営に関するあらゆる判断を社長自らが行っていると思います。大企業の様に、「物言う株主」の存在におびえる必要も、解任されるリスクもなく、思うがまま会社の方向性を決め、それに向かって全力投球する事ができます。ある意味恵まれた経営環境の様にも思えますが、実はそんな環境であるが故、特に意識をしなければならない事があります。それは、会社の経営においては最も基本的な事であるにも関わらず、なかなか実行が難しい「会社の財布と個人の財布を完全に分ける」という事です。

少し前の話になりますが、資本と経営との立場が明確になっているはずの大企業で、ある事件が起きました。前会長がカジノなどの個人的な目的に使用するために、複数の関連会社から多額の借入れを行っていたというのです。何故これだけの規模の会社において、このような事が起こり得たのでしょうか?理由の一つとして、創業家一族の影響力が関係していた様です。各関連会社に対しても大株主であった創業家一族は社内で絶対的な存在であり、その指示に対して逆らう事のできない社内風土ができあがっていたといいます。前会長は思うがまま「会社のお金を自由に動かす事ができる」自分の立場を利用して、「必要があれば会社からお金を引っ張ってくれば良い・・」という程度の軽い気持ちで、会社を自分の財布代わりに思っていたのかもしれません。

考えようによっては、中小企業における社長の立場というのも、この創業家一族の立場に非常に近い存在と言えるのではないでしょうか。この事例の様に、もし会社の現金を社長に貸し付ければ、会社としては、その貸付金に対する利息を取らなければならない(税務上は利息の認定を受ける)。また、金融機関から融資を受ける場合、その評価も当然厳しくなると考えられます。

仮に、将来性のあるビジネスがあり、皆さんがその会社にお金を出資し、第三者に会社の経営を任せたとします。その結果、その経営者が個人的な事に会社のお金を流用していた事がわかった場合、出資者としてそれを見過ごす事が出来るでしょうか。おそらく出来ないのではないかと思います。しかしこれが、株主=経営者となった途端に、全く別の見方になってしまうのです。

経営者は、普段から株主としての自分を意識する事はほとんど無く、専ら経営者として日々奮闘していらっしゃる事でしょう。しかし、その裏には「株主としてのもう一人の自分」がいる事を忘れてはいけません。そして時には株主としての視点で自問自答してみてはいかがでしょうか。まるで自分以外の誰かに問いかける様に、「そのお金、本当に会社の為に使うのですか?」・・と。(斉藤 勝)

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