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社会保険の加入要件「4分の3要件」とは?

7月の定時決定により決定した保険料率が9月分(10月末納付分)より適用されます。社会保険料に関しては大幅な賃金の変動がない限り1年間はほぼ同額のため、定時決定や保険料率の変更の時期(7月~9月)に見直しを兼ねて注目するところも多いのではないでしょうか?

ところで、パートタイマー等を雇用している会社では一度は「それらの労働者が社会保険の加入要件に該当しているかどうか」を気にした経験があることと思います。また、労働者側から「社会保険には入りたくない」と言われたことのある会社も少なくないのではないでしょうか。

パート等であっても、その1日又は1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である者は社会保険の被保険者として取り扱う。

名称は様々ありますが、上記のようないわゆる「4分の3要件」をご存知でしょうか?

実際その要件をパート等の社会保険の加入・未加入の判断基準としているところも多くあることと思われます。

報道等でも度々見かけるこの基準、実は法律で決められているものではなく、昭和5566日付け内かんと呼ばれる文書の中で、パート等にかかる社会保険の被保険者資格の取扱いについて、「当該就労者が当該事業所と常用的使用関係にあるかどうかにより判断すべき」とし、「常用的使用関係にあるかどうか」の判断を4分の3と示しているのです。

いつの頃からかこれが法定の適用基準のように誤解され、パート等で雇い入れた者を4分の3の基準を満たさないことを理由として社会保険の加入義務を果たさない事例も増えてきました。

この内かんはおよそ32年前に出されたものであり、今のように多様な働き方が浸透していなかった時代のものです。平成22年には、この内かんをもとに“所定労働時間等が4分の3に満たないことをもって一律に当該就労者が被保険者に該当しない”とするものではないことを改めて徹底するよう、事務連絡が発出されています。

なお、内かんを読み進めていくと「認定に当たっては当該就労者の就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきものであること」と示されています。

会社にとって社会保険料はとても負担の大きいものですが、その基準を理由として社会保険に加入することを避けることにより会社の運営を妨げ、従業員の就労意欲をそぐよりも、従業員に然るべき働き方をしてもらうほうが良いのではないでしょうか。

また、従業員が加入を拒んでいる場合、社会保険加入のメリット等について説明をすることも事業主の責務である時代なのかもしれません。

※短時間労働者に対する社会保険の適用については201610月以降、一定の要件を満たした企業等に対しての拡大が決定しています。(廣島 三津子)

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