相続税の申告のためには、相続人の確認、遺言の有無、遺産と債務の確認、遺産の評価、遺産の分割などの手続きが必要です。今回はその方法等について簡単にご説明いたします。
1.相続人の確認
被相続人(亡くなられた人)と相続人(被相続人の財産上の地位を引き継ぐ人)の本籍地から戸籍謄本を取り寄せて相続人を確定します。(戸籍の遡り除籍~出生まで)
2.遺言書の有無
遺言書があれば遺言書を開封する前に被相続人の住所地管轄の家庭裁判所で検認を受けます。
(形式が整っているかについて)ただし公正証書遺言の場合は検認を受ける必要はありません。
3.遺産と債務の確認
遺産と債務を調べてその目録や一覧表を作ります。また葬式費用・亡くなってから支払った医療費なども債務として差し引きますので領収書などを整理します。
4.遺産の評価
相続税がかかる財産の評価については、相続税法と財産評価基本通達により定められ一般に公表されていますので、それらにより評価します。
5.遺産の分割
遺言書による遺産の分割を行わない場合には、相続人全員で遺産の分割について協議をし、分割協議が成立した場合には遺産分割協議書を作成します。なお相続人のなかに未成年者がいる場合には家庭裁判所で、特別代理人の選任を受けます。この特別代理人がその未成年者に代わって、遺産の分割協議を行います。また期限までに分割できなかったときは民法に規定する相続分(法定相続分)で相続財産を取得したものとして相続税の申告をすることになります。
6.申告と納税
相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。被相続人の死亡時における住所を管轄する税務署に申告・納付します。相続人の住所地ではありません。
相続税は申告書の提出期限までに金銭で納めるのが原則です。しかし相続税の納税については、何年かに分けて金銭で納める延納と、相続または遺贈(被相続人の遺言によりその財産を移転すること)で取得した財産そのもので納める物納という制度があります。これらを希望する場合は申告書の提出期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。 (平林 明子)