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事業引継の選択肢としての自社株売却について

近年、事業引継において自社株売却が現実的な選択肢として注目されるようになってきました。日本M&A協会は、2013年より主に年商1億円以下の中小企業を対象にインターネット上に情報マッチングプラットフォームを提供します。これは日本初のことです。そこで自社株売却のメリット、自社株売却を成功させるためのポイント、株価の目安を整理してご紹介いたします。

●自社株売却のメリット

①自社株売却収入の獲得

  創業者またはオーナー経営者は、長年会社に貢献した分を自社株式売却という手段によって、現金収入を獲得できます。またこの獲得資金で第二創業することも可能です。

②事業の継続と発展

  譲受会社は、企業規模が大きく企業体力や信用力もあり、人材も豊富な会社が多いことが一般的です。このような会社に経営を託すことで、将来に渡って事業を継続でき、更に発展することも期待されます。自社と譲受会社の経営資源を融合することにより、自社単独では得られないシナジー効果を得られます。融合過程においては、企業文化・企業風土が合うか否かも吟味されます。

③従業員の雇用継続、取引先の維持

力のある会社が譲り受けしますので、当然に従業員の雇用も継続されます。自社が廃業すると、販売先や仕入先に迷惑をかけてしまうこともありますが、その心配もありません。

●自社株売却を成功させるためのポイント

事業引継を希望する会社の全てが自社株売却を実現し、メリットを享受できるわけではありません。当たり前のことですが、譲り受けたいと思われる魅力のある会社でなければいけません。はっきりとした自社の強み、つまり優良な取引先(反社勢力を除く)、特殊な技術、長年培ったブランドや販路や商圏などがあることです。そしてその強みを活かして毎期きちんと利益を出せる体制になっていることが重要です。

●株価の目安

 株価は当事者同士の交渉により決定しますが、「時価純資産+のれん」方式が納得感を得られやすいのです。「のれん」は、自社のデューデリジェンス後の実質的税引き後利益の3~5年分くらいになることが多いようです。一般的に赤字会社の場合、「のれん」がマイナス評価され、時価純資産を下回る株価で取引されることとなります。自社株を売却すると決断した場合は、「のれん」が高く評価されるようにより一層自社の強みを磨き、収益力を上げ、利益を出すことが重要です。(久保 康高)

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