土地や建物を売ったときの譲渡所得に対する税金は、分離課税といって給与所得などの他の所得と区分して計算します。さらに、土地や建物を売った年の1月1日現在でその土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になり税率が異なります。
(例) 平成24年中に土地や建物を譲渡した場合
平成18年12月31日以前に取得したもの(長期譲渡所得) 所得税 15% 住民税 5%
平成19年1月1日以降に取得したもの (短期譲渡所得) 所得税 30% 住民税 9%
● 譲渡所得の計算方法
課税譲渡所得は次の算式により計算します。
譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(一定の場合)=課税譲渡所得
取得費・・・売った土地や建物の購入代金(建物は減価償却費相当額を控除します。)や購入時の仲介手数料などの合計額。実際の取得費の金額が譲渡価額の5%に満たない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費として計算することができます。
譲渡費用・・・売却時の仲介手数料、測量費などの土地や建物を売るために直接要した費用のほか、貸家の売却に際して支払った立退料、建物を取壊して土地を売ったときの取壊し費用など。
特別控除額・収用などのとき 最高5,000万円
自分の住んでいる家屋と土地を売ったとき 最高3,000万円
● マイホームを売ったときの特例
自分が住んでいる家と敷地を譲渡したときなど一定の要件を満たす場合には次の特例があります。(譲渡する相手が親族等の場合は適用できません。)
(1) 3,000万円の特別控除の特例
長期譲渡所得又は短期譲渡所得のどちらに該当する場合でも、一定のものについては、課税譲渡所得の金額を計算する上で最高3,000万円が控除されます。
(2) 軽減税率の特例
譲渡した年の1月1日現在で、マイホームの所有期間が10年を超えている場合は、3,000万円の特別控除の特例を適用した後の課税長期譲渡所得金額に対して、次のとおり軽減された税率で税額を計算することになります。
課税長期譲渡所得の金額 所得税 住民税
6,000万円までの部分 10% 4%
6,000万円を超える部分 15% 5%
(伊藤 淳二)