「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下「犯罪収益移転防止法」という)が改正されたことに伴い、平成25年4月1日以降、金融機関等における本人確認が厳しくなります。例えば、新たに銀行口座を開設する際に公的書類で確認していた氏名、住所、生年月日等に加え、「職業」や「取引を行う目的」などの確認がされることになります。
犯罪収益移転防止法とは
近年、犯罪組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ組織への資金移動が、金融機関以外の事業者を利用して行われるなど、その手口は複雑化しています。こうした背景より、犯罪により取得した収益が他に移転することを防いだり、テロ資金等の供与を防止することなどにより、国民生活の安全と平穏を確保し、経済活動の発展に寄与することを目的とした「犯罪収益移転防止法」が制定されました。「犯罪収益移転防止法」では、対象事業者には取引時における本人等の確認や、この確認に関する記録の保存などが義務付けられています。
ここでは、銀行を例に確認が必要な取引と確認事項及び確認書類を見ていきます。
☆「取引時確認」が必要な取引
① 口座開設(定期預金や定期積金等の新規契約を含む)
② 融資の申込、貸金庫の契約、電子記録債権の契約
③ 200万円を超える現金の預入、引出、両替
④ 10万円を超える現金振込(含む外国送金)
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確認事項 |
確認書類(原本が必要) |
個人 |
氏名・ 住所・ 生年月日 |
運転免許証・健康保険証・ 国民年金手帳 パスポート・在留カード等のうちいずれか |
●職業 ●取引を行う目的 |
提示するものはなし 窓口で確認される(所定の用紙に記入) |
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法人 |
名称・本店や主たる事務所の所在地 |
登記事項証明書・印鑑登録証明書等 |
来店した人の 住所・氏名・ 生年月日 |
上記の個人に記載されている確認書類、 法人のために取引を行なっていることを確認できる書面等(社員証等) |
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●事業 内容 |
登記事項証明書・定款等 |
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●取引を行う目的 |
提示するものはなし 窓口で確認される(所定の用紙に記入) |
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●実質的支配者の有無・氏名・住所 生年月日 |
窓口で確認される(所定の用紙に記入) |
●・・・平成25年4月1日からの追加確認事項
伊藤 淳二