エンジェル税制とは、中小企業への投資を促進するために中小企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。中小企業に対して、個人投資家が投資を行った場合、投資時点と、売却時点のいずれの時点でも税制上の優遇措置を受けることができます。
※個人投資家が中小企業の新規発行株式を金銭の払込みにより取得した場合に本税制の対象となります。(発行済株式を他の株主から買ったり、譲り受けたりした場合は対象となりません。)
(1) 投資をした年に受けられる優遇措置
以下のAとBの優遇措置のいずれかを選択できます。
●優遇措置A(設立3年未満の企業が対象)
(対象企業への投資額 – 2,000円)を、その年の総所得金額から控除
※控除対象となる投資の上限は、総所得金額×40%と1,000万円のいずれか低い方
●優遇措置B(設立10年未満の企業が対象)
対象企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除
※控除対象となる投資額の上限なし
(2) 株式を売却し損失が発生した場合、受けられる所得税の優遇措置
対象企業株式の売却により生じた損失を、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できるだけでなく、その年に通算(相殺)しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって、順次株式譲渡益と通算(相殺)ができます。
※対象企業が上場しないまま、破産、解散等をして株式の価値がなくなった場合にも、同様に翌年以後3年にわたって、損失の繰越ができます。
※対象企業へ投資した年に優遇措置(AまたはB)を受けた場合には、その控除対象金額を取得価格から差し引いて売却損失を計算します。
(3) エンジェル税制の対象要件
エンジェル税制の優遇措置を受けるためには、個人投資家による資金の払込期日時点で中小企業要件と個人投資家要件をみたさなければなりません。対象要件は、関東経済産業局が作成している「エンジェル税制要件判定シート」でチェックできます。ネット検索で「エンジェル税制要件判定シート」と入力すればすぐに出てきます。
(4) エンジェル税制申請から確定申告までの流れ
① 中小企業は自社がエンジェル税制の対象企業であることを経済産業局に確認
→ 対象企業と確認されると、経済産業大臣の確認書を交付
② 中小企業は確定申告に必要な書類を個人投資家に提出
③ 個人投資家は確定申告 (伊藤 淳二)