決算書のメインとなる貸借対照表と損益計算書。今一度その意味を確認してみましょう。
貸借対照表は決算日における会社の財政状態を、損益計算書は一年間の経営成績(=儲け)を表しています。
今回は損益計算書に焦点を当て、その構造をみていきたいと思います。
損益計算書は段階的に5つの利益から構成されています。
売上高 売上原価 |
100,000 △70,000 |
売上総利益 販売管理費 |
30,000 △25,000 |
営業利益 営業外収益 営業外費用 |
5,000 500 △600 |
経常利益 特別利益 特別損失 |
4,900 300 △200 |
税引前当期純利益 法人税等 |
5,000 △2,000 |
当期純利益 |
3,000 |
売上総利益
粗利ともいわれ、売上から売上原価を差し引いた金額
営業利益
売上総利益から原価のほかに売上を上げるためにかかった費用(給料や電話代、家賃など)を差し引いた金額。本業でのもうけを表す。
経常利益
営業利益から本業以外で生じた収支(資金調達のために生じた費用など)を差し引いた金額。会社の経常的な収益力を表す。
税引前当期純利益
経常利益から臨時的・突発的に発生した収益費用を加減算したもので、税金を差引く前の損益の額
最終的な当期の損益の額
このように損益計算書では上から下へ収益・費用を足したり引いたりしていくことで一年間の儲けを計算し、会社の業績を表しています。
ではこれらの数字を2つの比率に表して、損益計算書の理解を深めていきましょう。
ひとつ目は売上高総利益率(粗利率)で、売上総利益÷売上高で算出します。売上にかかる仕入の割合により変動するので、業種によって異なるという特徴があります。上記の損益計算書でいうと、売上総利益30,000÷売上高100,000=30%となります。
もうひとつは売上高経常利益率で、経常利益÷売上高で算出します。上記の損益計算書では、経常利益4,900÷売上高100,000=4.9%となります。どちらも売上と各段階での利益を比較しています。
各業種の平均値は次の通りです。
利益率 業種 |
売上高 総利益率(%) |
売上高経常利益率(%) |
建設業 |
20.1 |
1.4 |
製造業 |
20.8 |
3.0 |
卸売業 |
16.3 |
1.7 |
小売業 |
28.5 |
1.5 |
不動産業 |
46.3 |
6.4 |
サービス業 |
39.7 |
3.1 |
どちらの率も高ければ高いほど良い状態を表します。
同業他社や、過年度の数値と比較し、経営計画に役立てていただけたらと思います。
(石田 沙織)
平成24年中小企業実態基本調査速報(中小企業庁HP)