今年になって事業環境に変化が出てきたと感じている中小企業の経営者は多い、中小企業の一部ではこの機会を捉え、自社の経営の立て直し、あるいは更なる成長を目指したいと考え、その選択肢の一つとして新事業展開なども模索しているようです。
企業が経営の立て直しあるいは更なる成長のために新事業を考える場合、どのような事業分野に進出するか、経営者はどの様なことをよりどころに選んでいるのでしょうか。
4月末に発表された2013年版の中小企業白書から、新事業展開で成果を挙げた中小企業の事業分野の選択理由は以下の通りです。
新事業展開で成果を挙げた企業の事業分野の選択理由
(複数回答 単位:%)
自社の技術・ノウハウを活かせる |
66.4 |
自社製品・サービスの提供ルートを活かせる |
35.0 |
新しい市場であり、先行参入するメリットがある |
19.5 |
社会的課題の解決につながる |
19.3 |
競争が激しいが、市場として高成長している |
18.2 |
親会社や取引先からの要請があった |
13.9 |
新製品・サービスの開発費用が比較的少ない |
13.9 |
中小企業庁「2013年中小企業白書」より作成
● 自社の経営資源を活かす
「自社の技術・ノウハウを活かせる」66.4%、「自社製品・サービスの提供ルートを活かせる」が35.0%となっているように、自社の経営資源を新事業にも活かすという考え方が、新事業分野を選択する際の主流となっています。大企業に比べ経営資源が限られている中小企業の場合、自社の既存事業にまったく関係のない分野への進出するのは、人員面や資金面で難しい部分があり、やはり自社の経営資源を活かすことのできる分野を選択する企業が多くなっていることが解ります。
● 新事業展開するうえでの課題
白書の同じ調査によると、「新事業を担う人員の確保」や「販売先の選択・確保」、「自己資金不足」などが、新事業を展開していくうえで課題となっています。中小企業は人員や資金に余裕がない場合が多いでしょうから、新規事業分野に進出する前には、できる限り事業計画を綿密に策定し、無理のない計画にすることも重要です。また、当初の計画を下回るような業績が続けば自社の経営に大きなダメージになりますので、撤退の基準を明確にしておくことも大切です。
国、都道府県などが課題(人材確保、販路開拓、経営ノウハウ不足、自己資金の不足)の解決を支援する施策を講じており、今後も注視していく必要があります。
(廣島 清量)