今号は消費税転嫁対策措置法の4つの柱のうちの「消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置」及び「価格の表示に関する特別措置」についてご説明いたします。
○消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置
平成26年4月1日以降に供給する商品又は役務の取引について、消費税分を値引きする等の宣伝や広告が禁止されます。禁止される表示は以下のとおりです。
禁止される表示 |
禁止される表示の具体例 |
①取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示 |
「消費税は転嫁しません」 「消費税は当店が負担しています」 |
②取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示であって消費税との関連を明示しているもの |
「消費税率上昇分値引きします」 |
③消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって②に掲げる表示に準ずるもの |
「消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します」 |
違反行為を防止又は是正するため、消費者庁、公正取引委員会、主務大臣、中小企業庁長官が必要な指導・助言を行います。また、違反行為があると認められる時は、消費者庁が勧告を行い、その旨を公表します。
○価格の表示に関する特別措置
平成25年10月1日以降、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保や事業者の値札の貼り替えなどの事務負担に配慮する観点から、表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば、「税込価格」を表示しなくてもよいとする特例が設けられています。
【具体的な表示の例】
(例1)値札、チラシ、ポスター、商品カタログ、インターネットのウェブページ等において、商品等の価格を次のように表示する
○○円(税抜) ○○円(税抜価格)
○○円(本体価格) ○○円+税
(例2)個々の値札等においては「○○円」と税抜価格のみを表示し、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付きやすい場所に、明瞭に、「当店の価格は全て税抜価格となっています。」といった掲示を行う
なお、事業者が、税込価格に併せて税抜価格を表示する場合において、税込価格が明瞭に表示されている時は、景品表示法第4条第1項(不当表示)の規定は適用されません。
中小企業事業者としては、複数回の税率引き上げによる事務負担の軽減と消費者の誤認防止を天秤にかけて、上手に特別措置を活用しましょう。 (久保 康高)