贈与をした場合に受贈者一人当たり年110万円までは贈与税がかからないということは一般に知られているところです。また、扶養義務者相互間で、生活費又は教育費に充てるために贈与された財産のうち通常必要と認められるものは最初から非課税となっています。このほかに贈与税の規定では以下のような非課税枠があります。
1)住宅取得等資金贈与の特例
平成25年に直系尊属(両親・祖父母など)が住宅用家屋の新築、増築に充てるための金銭を子、孫に贈与した場合は一般住宅は700万円まで、耐震・エコ住宅は1,200万円まで非課税(平成26年中は、一般住宅は500万円まで、耐震・エコ住宅は1,000万円まで非課税)
2)贈与税の配偶者控除
婚姻期間20年以上の夫婦間において、自己が所有している居住用不動産または居住用不動産の取得に充てた金銭の贈与がされたときは、贈与を受けたその居住用不動産と金銭との合計額から2,000万円を限度として配偶者控除として控除される
3)教育資金の贈与
直系尊属(祖父母など)が教育に充てるための金銭を金融機関等を通して30歳未満の孫などに贈与した場合は、孫一人当たり1,500万円まで非課税(平成25年4月1日~平成27年12月31日)
4)相続時精算課税
相続時精算課税制度の適用を受けた場合は贈与者一人当たり2,500万円まで非課税(贈与者が亡くなったときは、遺産にその贈与を受けた財産を加えて相続税を計算することとなる)
5)事業承継税制
中小企業の後継者が、現経営者から会社の株式の贈与を受けた場合に次の要件を満たしていれば贈与税を100%軽減できる制度です。
(ア)現経営者から、親族である後継者への贈与であること(平成27年からは親族外承継も対象になる)
申告期限後5年間は
(イ)後継者が会社の代表者であること
(ウ)毎年、雇用の8割以上を維持していること(平成27年からは5年平均)
(エ)後継者が筆頭株主であること
(オ)上場会社、特定の業種の会社、資産管理会社に該当しないこと
(カ)猶予対象株式を継続保有していること
申告期限後5年経過後から
(キ)猶予対象株式を継続保有していること
(ク)資産管理会社に該当しないこと (廣島 清量)