2014年の1月からNISA(少額投資非課税制度)がスタートします。NISAとは毎年100万円を上限とする新規投資に関する配当や譲渡益を最長5年間、非課税にする制度です(現在は10.147%ですが、2014年からは通常20.315%の税金がかかることになっています)。
NISAを使った具体例
2014年にNISA口座でA社株式に100万円を投資、5年後株価が3倍になって売却したとすると、利益は200万円となり、通常であれば200万円×20%=40万円が税金となりますが、NISA口座で取引すると税金は0円です。NISAの最大のメリットは非課税ということですが、デメリットや注意点もあります。
① 損益通算や3年間の繰越控除が出来ない
通常、上場株式等の売却損は、その年の譲渡益や配当と損益通算したり損失を翌年以降3年間繰り越したりすることができますが、NISA口座で保有している株式等に関してはその他の銘柄と損益通算することは出来ません。これはNISA口座以外の特定口座等に入っている株式等と損益通算が出来ないだけでなくNISA口座内の株式等の間でも通算ができません。
② NISA口座から特定口座や一般口座に移管した場合、移管したときの時価に取得価格が付け変わる為、損失を出していたとしても課税されるケースがある。
例えば、100万円で購入したNISA口座内の株式が50万円に値下がりしてしまい、特定口座等へ移した後70万円まで値を戻したので売却した場合、売却価格70万円から取得価格50万円(移管時の株価)を差し引いた20万円が売却益とみなされ、税金が発生します。
③ 株式を売却しても非課税枠を再び使うことは出来ない
2014年に100万円の株式をNISA口座で購入し、2014年中にその株式をすべて売却して、同じNISA口座内でまた投資をしようとしても、2014年中は非課税枠の100万円を使い切っているので、他の特定口座等で運用するしかありません。また、仮に2014年に70万円の投資を行い、30万円の非課税枠が残っているからといって、その枠を翌年に繰り越して翌年は130万円枠があるということではありません。
④ 現在運用中の株式等をNISA口座に移すことは出来ない
新規投資が前提となっている為、現在運用中の株式等はNISA口座に移すことは出来ません。
⑤ 配当の受け取り方に注意
配当の受け取り方を「株式数比例配分方式」という方法にしなければ、配当が非課税になりません。
⑥ 口座開設は20歳以上で1人1口座まで
一度開設すると、その設定期間内は、他の金融機関で口座を開設することができません。口座開設機関は、(1)2014年から2017年(2)2018年から2021年(3)2022年から2023年というように決まっており、この期間内で1回しか口座は開設できません。
NISA口座を開設する方は、上記注意点を考慮した上で運用をしてみて下さい。 (伊藤 淳二)