「ブラック企業」ということばを良く耳にするようになりました。
このことばには特に定義があるわけではありませんが、決していい意味で使用されているわけではないのは明らかです。
求人の時点でその要素を含んでいる企業も存在しており、厚生労働省によると、ハローワークで記載されている求人票に関し、昨年度は全国で7千件以上の苦情や相談が寄せられたとのことです。
実際に働き始めてから求人票との違いが発覚するケースのため、公共の施設であるハローワークで掲出しているものでさえ不安を覚える求職者が出てきてしまうのはとても残念なことです。そのようなことでは真剣に人材を募集している企業も先述の“ブラック企業”と誤解されかねず、応募前の時点で良い人材を逃している可能性もあるかもしれません。
そのような無用な心配をせず良い人材を確保するきっかけとして、「若者応援企業宣言」の制度を利用するという方法があります。
若者応援企業宣言をすると、「若者応援企業」を名乗ることができ、若者の育成・採用に積極的であることを対外的にアピールできるほか、以下のようなメリットがあります。
◎通常の求人情報に比べ、より詳細な企業情報等を公表できるので、企業の職場環境や雰囲気などがイメージしやくすくなり、より適した人材の応募が見込まれ、採用後の職場定着が期待できる。
◎都道府県労働局のHPで就職関連情報も含めたPRシートを公表するため、企業の魅力を広くアピールできる。
◎就職面接会などの開催について積極的に案内が来るようになり、若年求職者と接する機会が増える。
次の1~7の宣言基準をすべて満たす中小・中堅企業であれば、「若者応援企業宣言」ができます。
1.学卒求人など、若者対象のいわゆる正社員求人をハローワークに提出すること
2.若者応援企業宣言の事業目的に賛同していること
3.社内教育等をはじめとする就職関連情報を開示していること
4.労働関係法令違反を行っていないこと
5.事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと
6.新規学卒者の採用内定取り消しを行っていないこと
7.助成金の不支給措置を受けていないこと
なお、「若者応援企業」の名称使用期間は求人の提出日から原則、その事業年度末までです。継続して「若者応援企業」の名称を使用する場合は、改めて求人を提出し宣言基準の確認を受ける必要があります。
(廣島 三津子)