贈与税の課税制度には「暦年課税」と「相続時精算課税」の二つがあり、後述の一定の要件に該当する場合に相続時精算課税を選択することができます。この制度は親から子への財産の移転を早期に促すために導入された制度です。
相続時精算課税制度を利用して贈与を行うと、2500万円までの財産を非課税で贈与することができるため、相続財産が基礎控除以下の方には大変有効な制度です。ただし、27年1月1日以降の相続では相続税の基礎控除が大幅に引き下げられますので導入に関しては必ず専門家にご相談ください。
○相続時精算課税制度のメリット・デメリット
☆メリット
1.子供一人につき2500万円まで贈与しても贈与税がかからない。
2500万円を超えるまでは贈与税がかからず、仮に超えても20%の贈与税がかかるだけなので贈与しやすい。
2.財産価値が上昇局面では、相続税を抑えることができる。
相続が発生した場合の相続財産の評価は贈与時の価額でするため、財産価値が上昇局面の時は相続財産価額を低く抑えることができ
節税につながる。
★デメリット
1.相続時精算課税制度を選択すると暦年課税を選択することができなくなる
2.メリット2.の反対で財産価値が下降局面では、相続税が高くなってしまう可能性がある。
3.特に不動産を対象とした贈与の場合には、登録免許税が相続時のものより高くなり、また不動産取得税がかかる。(相続で名義変更した
場合 には不動産取得税はかからない)
○相続時精算課税制度を受けるための要件
適用対象者贈与者は65歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっている場合は20歳以上の孫を含み
ます)とされている。(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はなし。
○税額の計算
贈与額一人2500万円までは非課税、超過した場合は一律20%課税
相続時には贈与時にもらった財産と相続財産を合算して、相続税を計算(価額は贈与時のもの)。相続税の基礎控除以下であれば申告の必要はない。
○適用手続き
相続時精算課税制度を選択しようとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの間に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税制度選択届出書」を受贈者の戸籍謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出しなければならない。
(平林 明子)